マ・ドンソクだから許される!?暴力ギャグの数々…不謹慎だけどユーモラスな『犯罪都市』のおもしろポイント
交通事故レベルの破壊力を誇るマブリーの怪力を生かしたギャグの数々
作品を重ねるごとにエクストリーム度がアップしている「犯罪都市」シリーズだが、最も顕著なのがソクトから繰りだされる怪力の数々。『犯罪都市 THE ROUNDUP』のラスト、凶悪犯のカン(ソン・ソック)をバスの中でぶちのめすシーンでは座席ごとカンを蹴り飛ばしたり、フロントガラスに投げ飛ばしたりと、交通事故レベルの描写でソクトの圧倒的なパワーが表現された。
さらに『犯罪都市 NO WAY OUT』ではクラブセキュリティの大男が拳一発で沈められ、直立不動のまま床に突っ伏す様子をローアングルからのカットでコミカルに映しだしたり、ソクトの腰の入ったパンチを食らった敵がショットガンで撃たれたかのように吹っ飛んだりと、暴力をもはやギャグとして描写。
さらに、金庫を見つけたソクトがダイヤルの音に耳を澄ませながら金庫を破ろうとするもうまくいかず、最終的に怪力でこじ開けるというギャグなど振り切ったシーンのオンパレードだった。
最新作にはこれまでのコミカルな要素がてんこ盛り
最新作『犯罪都市 PUNISHMENT』も、骨太なアクションのなかに笑いが絶えないこれまでの路線が貫かれている。今回の物語は、フィリピンに拠点を置く国際IT犯罪組織にソクトが挑むというもので、“拳 vs IT犯罪”という構図自体がユニークだ。
デリバリーアプリを悪用した麻薬密売事件を追うソクトは、手配中のアプリ開発者が謎の死を遂げた事件の背後に国際IT犯罪組織の存在を突き止める。拉致、監禁、暴行、殺人を厭わず、オンラインカジノ市場を掌握した特殊部隊出身の“元傭兵”ペク・チャンギ(キム・ムヨル)と、さらなる野望を企む“ITの天才”チャン・ドンチョル(イ・ドンフィ)らによるIT犯罪を食い止めるべく、捜査を開始していく。
「クラウド」という用語を間違って理解したりと、デジタル関連はてんでダメな様子がなんともかわいらしいソクト。今回ばかりは出る幕なしかと思いきや地道に足で稼ぎ、キーマンを捕まえては“真実の部屋”をチラつかせたりと、お決まりの笑いを交えつつ真相に近づいていく。
おなじみのイスもロン毛の成金として再登場。オンラインカジノ事業に手を出していた経験からまたも捜査に協力させられると、危険な潜入捜査に利用されるなどこれまで以上に大活躍。さらに怪力ギャグも冒頭からフルスロットルで、スクーターで逃げようとするチンピラを後ろから片手で掴んで止めたり、犯罪組織に設置されていた巨大な鉄格子を一人で外してしまったり…出血大サービスとなっている。
悪を成敗するストレートで爽快なストーリーと見応えのあるアクション、そこに笑いが加わり、これ以上ないエンタメとなっている「犯罪都市」シリーズ。警官の暴力という不謹慎な笑いが成立するのも、圧倒的な肉体とチャーミングな魅力を併せ持つマブリーだからこそ。最新作でもその魅力を存分に味わってほしい。
文/サンクレイオ翼