『ラストマイル』が2週ぶりに首位返り咲き!好調の実写オリジナル邦画に、国内アニメ映画が猛追|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
『ラストマイル』が2週ぶりに首位返り咲き!好調の実写オリジナル邦画に、国内アニメ映画が猛追

コラム

『ラストマイル』が2週ぶりに首位返り咲き!好調の実写オリジナル邦画に、国内アニメ映画が猛追

9月20日から9月22日までの全国映画動員ランキングが発表。公開から3週連続で首位をキープし、先週3位まで後退した『ラストマイル』(公開中)が週末3日間で観客動員23万7000人、興行収入3億5800万円と、前週比92%の好成績を収めて首位へ返り咲き。「秋分の日」を含めた公開32日間の累計成績は、動員315万人&興収45億円を突破している。

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【写真を見る】IMAX先行上映も好調の『劇場版 オーバーロード 聖王国編』が2位に初登場
【写真を見る】IMAX先行上映も好調の『劇場版 オーバーロード 聖王国編』が2位に初登場[c]丸山くがね・KADOKAWA 刊/劇場版「オーバーロード」聖王国編製作委員会

『ラストマイル』や先週1位に初登場を果たした『スオミの話をしよう』(公開中)と、夏の終わりごろから国内の実写オリジナル映画が好調を保っていることは先週の当記事でも紹介したが、今週は逆に、秋シーズンのアニメ映画を中心に取り上げていきたい。もっとも、現在の日本の映画興行において実写や海外作品よりも国内のアニメ作品が優勢であることはいまに始まったことではなく、なにかしらのアニメ作品、とりわけ一定の支持層を得ているテレビアニメの劇場版作品が常にランキング圏内にいることが当たり前となっているのだが。

2位に初登場を果たした『劇場版 オーバーロード 聖王国編』(公開中)も、テレビアニメの劇場版作品の一本。丸山くがねの同名ライトノベルを原作に、2015年にテレビアニメ第1期が放送されたあと、劇場版総集編を経て2018年に第2期と第3期が放送。2021年に第4期と完全新作劇場版の製作が発表され、前者は2022年に放送。後者が今回ランクインした『聖王国編』ということになる。

製作発表から3年。原作ライトノベルでも人気の高いエピソードをアニメ化!
製作発表から3年。原作ライトノベルでも人気の高いエピソードをアニメ化![c]丸山くがね・KADOKAWA 刊/劇場版「オーバーロード」聖王国編製作委員会

初日から3日間の動員は19万8000人、興収3億1800万円で、9月13日から行われていたIMAXの先行上映を含めればすでに累計動員27万人&興収4億5700万円に到達。まさにファンが長いこと公開を待ち望んでいたことが数字にあらわれているといえよう。例によって近年のこうした作品には欠かせない入場者プレゼントも、通常上映とIMAX上映それぞれで用意されており、リピーター戦略も万全なことが窺える。

ダークファンタジー作品である『オーバーロード』がファン待望の完全新作劇場版であることに対し、今週のトップテンにランクインしている4作品の国内テレビアニメの劇場版は、いずれも作品のジャンルや性質が異なっている点で興味深い。公開2週目で4位にランクインした『わんだふるぷりきゅあ!ざ・むーびー! ドキドキ・ゲームの世界で大冒険!』(公開中)も完全新作劇場版であることには変わりないが、「プリキュア」シリーズの映画版は秋の風物詩。

テレビスペシャルを放送に先駆けて劇場上映する『五等分の花嫁*』
テレビスペシャルを放送に先駆けて劇場上映する『五等分の花嫁*』[c]春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁*」製作委員会

また、5位に初登場を果たした『五等分の花嫁*』(公開中)は、テレビスペシャルとして制作されたものを放送に先駆けて期間限定上映しているものであり、9位にランクインした『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM 特別版』(公開中)は、今年1月に公開され大ヒットを記録した内容から500カット以上のアップデートとエピローグカットを追加した“特別版”での期間限定上映。ちなみに異なるエピローグカットが見られる特別版の第2弾も11月に控えているという。『わんぷり』の場合は年齢が限定されているが、いずれの作品も『オーバーロード』と同じように入場者プレゼントが用意されている点で共通している。


国内のオリジナル実写映画が巻き返しを図るなかで、熱烈なファンダムの支持を集めるかたちであらためてその強さを見せつけた国内テレビアニメの劇場版作品たち。一方で、対する『ラストマイル』もこの週末に全国50万名限定でステッカーの入場者プレゼントを配布しており、それが先述の安定感ある興行につながったとみることができる。こうした戦略が日本の映画興行の支えになっていることは間違いないが、純粋にクチコミで広がるタイプのはずだった『ラストマイル』もその流れに乗ったというのは、少々考えものかもしれない。

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