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トロント国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭、エミー賞のルックを総まとめ!3つのキーワードからベストドレッサーたちを一挙に紹介

コラム

トロント国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭、エミー賞のルックを総まとめ!3つのキーワードからベストドレッサーたちを一挙に紹介

ジョナサン・アンダーソンによるロエベ

その卓越されたデザインで、ルックや起用するアンバサダー、そして身に着ける人を最旬アイコンにしてしまう、いまもっともホットなブランドといえば、ジョナサン・アンダーソン率いるロエベ。

グレタ・リー@エミー賞

首元のデザインが目を引くグレタ・リー
首元のデザインが目を引くグレタ・リー[c]Television Academy.

「ザ・モーニングショー」でノミネートされたエミーでのグレタ・リーのルックには、ガーゼを彷彿させる軽やかな白のレースがふんだんにあしらわれており、首元のデザインには個性が光る。

テイラー・ラッセル@ヴェネチア

ジョナサン・アンダーソンがミューズと謳うテイラー・ラッセル
ジョナサン・アンダーソンがミューズと謳うテイラー・ラッセル[c]SPLUSH/AFLO

ヴェネチアでのテイラー・ラッセルは、9月3日に着用したブラック・センシュアルなロエベのルックが最も洗練されていて、彼女の魅力を引き出していた。さすが、アンダーソンがミューズと謳っているだけある。

ダニエル・クレイグ@ヴェネチア

妻レイチェル・ワイズとのバランスがちょうどいいダニエル・クレイグ
妻レイチェル・ワイズとのバランスがちょうどいいダニエル・クレイグ[c]SPLUSH/AFLO

同日、ロエベを着用して最も話題になっていたのは、ダニエル・クレイグ。奥様のレイチェル・ワイズもステキだったけど、ワイズのフルコースな正装と対比させるためか、ラフなグルーミング、サングラス、ノータイと潔い。ディテールだけみるとドレスドダウンだけれど、ロエベ特有のクワイエット・ラグジュアリー感をもってして、カジュアル過ぎにみえない。

この3人は、ロエベのキャンペーンにも登場しているから予想通り…なのだが、ふたりの巨匠監督にもロエベがすごく似合っていて、うれしい驚き! 

ルカ・グァダニーノ@トロント

ダニエル・クレイグ主演の『Queer』のルカ・グァダニーノ監督は、9月9日のトロントで、オリーブ・モスグリーンが美しいセットアップを着用。

ペドロ・アルモドバル@ヴェネチア

ピンクのセットアップで登場したペドロ・アルモドバル監督は見事、金獅子賞を受賞!
ピンクのセットアップで登場したペドロ・アルモドバル監督は見事、金獅子賞を受賞![c]SPLUSH/AFLO

ティルダ・スウィントンとジュリアン・ムーアが主演を務める『The Room Next Door』で、金獅子賞を受賞したペドロ・アルモドバル監督は9月2日、ピンクが鮮やかなダブル・ブレストのセットアップで登壇。アンダーソンは、単にアップカミングなセレブに着せるだけでなく、斬新で上品なカラーパレットを用いることで、デザインをモダンで新鮮にみせるのが巧い!

自分らしさの表現にルーツは欠かせない

●カーリー・レイス@エミー賞

シリーズ最高傑作と呼び声の高い「トゥルー・ディテクティブ」のシーズン4にあたる「ナイト・カントリー」。ジョディ・フォスターがリミテッドシリーズ部門の主演女優賞を獲得したが、彼女がスピーチでふれたように、アラスカを舞台にした本作の成功は、アメリカ原住民と先住民の血をひくカーリー・レイスのサポートなしでは成立しなかっただろう。惜しくも受賞はNetflix「私のトナカイちゃん」のジェシカ・ガニングに譲ったが、本人も助演女優賞にノミネートされ、その知らせが来た時から、インディジアスなブランドを選ぶことを決めていたと、とあるインタビューで答えている。当日のルックは、白とパープル。ネイティブアメリカンの東部部族の伝統的な貝殻ビーズからインスパイアされたカラーパレットで、特にアクセサリーは自身のルーツにゆかりのあるものにこだわったそう。

●リチャード・ガット@エミー賞

伝統的なスコットランドキルトを合わせ、メッセージ性の高いルックを披露したリチャード・ガット
伝統的なスコットランドキルトを合わせ、メッセージ性の高いルックを披露したリチャード・ガット[c]Television Academy.

「私のトナカイちゃん」で脚本・製作・主演を務め、いずれもエミー賞を受賞する偉業を果たしたリチャード・ガットも、自身の出身をファッションで表現したひとり。上半身は、タキシードスタイルでレッドカーペットスタイルの王道を踏襲し、下半身はスコットランドキルトを合わせた。また、本作は彼が受けた暴行とストーカー行為という実話に基づいているため、イギリスで活動する団体のスローガン、“We Are Survivors(私たちは生き残った者)”と書かれた白いピンをジャケットのラペルに付けた。この日のルックは、ガットにとって、ステートメントファッションでもあったのだ。

●アンナ・サワイ&中田クルミ@エミー賞

真っ赤なドレスで登場したアンナ・サワイは主演女優賞を受賞!
真っ赤なドレスで登場したアンナ・サワイは主演女優賞を受賞![c]Television Academy.

エミー賞では、「SHOGUN 将軍」が作品賞や監督賞、日本人男性として初となる真田広之による主演男優賞、アジア人女性として初となるアンナ・サワイによる主演女優賞をはじめ、エミー史上最多である18もの賞を獲得し、その快挙にいとまがない。アンバサダーに就任したカルティエのジュエリーに、真っ赤なヴェラ・ウォンを合わせた鞠子様ことサワイも晴れ晴れしかったけれど、このチームからは、浅野忠信の妻で、俳優の中田クルミが着物でレッドカーペットへ参加。

色留袖にあしらわれたのは大名行列のデザインで、徳永家康がモデルになっている真田演じる吉井虎永が大阪から網代へ向かう一行に見立てているという。水色と紅色のカラーパレットも、SHOGUNのメインビジュアルに合わせたとのこと。組み合わせたルイ・ヴィトンのクラッチには、本作に何度か登場する縄柄を取り入れるなど、単に自国のルーツを表現しただけでなく、招待された意図をくみ取ってスタイリングでストーリーを演出するのはステキ。和服であっても、洋服であっても、それがファッションの真髄ですもの!


文/八木橋恵

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