ジョーカーが仕掛ける狂乱の世界へ没入!“IMAX推し”な『ジョーカー2』はレディー・ガガの歌声も最高の環境で - 3ページ目|最新の映画ニュースならMOVIE WALKER PRESS
ジョーカーが仕掛ける狂乱の世界へ没入!“IMAX推し”な『ジョーカー2』はレディー・ガガの歌声も最高の環境で

コラム

ジョーカーが仕掛ける狂乱の世界へ没入!“IMAX推し”な『ジョーカー2』はレディー・ガガの歌声も最高の環境で

ホアキン・フェニックスの怪演に、あらゆる感情が刺激される!

驚異の怪演でアカデミー賞をもぎ取ったホアキン・フェニックスが、今作でも圧巻の演技を披露
驚異の怪演でアカデミー賞をもぎ取ったホアキン・フェニックスが、今作でも圧巻の演技を披露[c] & TM DC [c] 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.IMAX[r] is a registered trademark of IMAX Corporation.

そして本作の最大の見どころといえば、やはりホアキン・フェニックスが見せる、一瞬で観客を釘付けにする最高レベルの怪演だ。前作に引き続き肉体改造に挑み、それによって生じた感情的に不安定な様子が、そのままジョーカーという役柄に反映されているという生々しさ。もはや演技の限界を突破しているといっても過言ではないだろう。

オスカー俳優の仲間入りを果たした前作以降も、リドリー・スコット監督の『ナポレオン』(23)やアリ・アスター監督の『ボーはおそれている』(23)などでその演技力を見せつけたフェニックス。しかし、ジョーカーこそが彼にとっての一世一代のハマり役であると、本作を観ればあらためて実感できるはずだ。

またもや肉体改造を行ない、ジョーカー役に徹底アプローチ
またもや肉体改造を行ない、ジョーカー役に徹底アプローチ[c] & TM DC [c] 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.IMAX[r] is a registered trademark of IMAX Corporation.

今年の第81回ヴェネチア国際映画祭でのワールドプレミア後に行われたオンライン記者会見の席で、フェニックスはジョーカーを演じるにあたっての役づくりのポイントとして「彼のアイデンティティを掘り下げること」だと語っている。不遇なバックグラウンドや、不条理な世の中から浴びせられてきた仕打ち、あらゆる出来事をアーサーはどのように受け止めているのか。それをアーサーとジョーカーという二面性を持った人物の表情や行動にどのように落とし込まれているのか。

キャラクターとしての掘り下げが丁寧かつ精密に行われていることは、おそらく通常のスクリーンで観ても一目瞭然だ。しかしIMAX認証デジタルカメラで撮影された「Filmed for IMAX」である本作は、IMAXの壁一面の大画面で観ると、さらにそのディテールまではっきりと確認でき、より強烈に引き込まれてしまう。孤独のどん底にいた男がリーとの出会いでわずかな希望の光を見出し、裁判を重ねるうちに狂気を募らせ、やがてリーとの関係に変化が生じるなかで絶望へと堕ちていく。それらが表情の些細な動きや目線によって表され、観るものの感情をじわじわと刺激していく。

ひと足先に本作を鑑賞している海外の批評家からは、「期待通り狂気的でエキサイティング」や「前作以上に人々を驚かせる独創性」との声が多数上がっているが、同時に前作以上の賛否両論を巻き起こしている点も本作らしいところ。それはひとえに、“ジョーカーの誕生”というはっきりとした結末が用意されているとわかっていた前作に対し、最初から最後まで予想だにしないことが起こり続ける本作は、咀嚼し消化するのにあまりにも時間が掛かるからに違いない。

法廷劇へと転じる後半…そこから怒涛のクライマックスが幕を開ける!
法廷劇へと転じる後半…そこから怒涛のクライマックスが幕を開ける![c] & TM DC [c] 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.IMAX[r] is a registered trademark of IMAX Corporation.

クライマックスの展開については多くを語ることはできないが、フェニックスが放つ絶望的なオーラによって、前作にも登場したあの“ジョーカーの階段”が同じ場所なのにまるで違って見えることだけは言っておきたい。そして最後の最後に訪れる展開も彼の“目”がすべてを物語っており、暴走と狂気の果ての衝撃の先に、また別の感情が湧きでてくるはずだ。ジョーカーが仕掛ける狂乱の“ショー”をリアルさながらに体感できるIMAXで目撃したら、誰もが劇場を出る時には軽やかなステップを踏み、ジョーカーの狂信者となっていることだろう。


文/久保田和馬

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