10月4日から10月6日までの全国映画動員ランキングが発表。前々週の首位返り咲きから2週連続で1位をキープしていた『ラストマイル』(公開中)を退け、気鋭のスタジオA24製作のディストピア・アクション『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(公開中)が、見事に初登場No. 1に輝いた。
ラージフォーマット上映が大好評!A24作品が初めて日本の動員ランキングを制する
アメリカ国内で起きる内戦を描き、今年4月に公開された北米ではA24作品史上最大のオープニング興収を叩きだした『シビル・ウォー』。北米から約半年遅れでの公開となった日本では、全国348館(437スクリーン/IMAX、Dolby Cinemaなどラージフォーマットを含む)で公開され、初日から3日間で動員12万7538人、興収1億9968万3080円(先行上映を含む)を記録した。
近年の日本での動員ランキングは、あらためて説明するまでもなく国内作品、それもアニメーション映画が圧倒的な成績を収める傾向が強く“邦高洋低”が顕著。それを示すように、2024年に入ってから洋画で首位を獲得したのは『マッドマックス:フュリオサ』(24)と『インサイド・ヘッド2』(公開中)、『怪盗グルーのミニオン超変身』(公開中)のみであり、初登場かつ実写作品となると『フュリオサ』ただ1本。今回の『シビル・ウォー』が、ようやくの2本目ということになるわけだ。
しかも本作はハピネットファントム・スタジオの配給作品であり、いわゆる洋画メジャー会社(ディズニー、ワーナー、ソニー、東宝東和、東和ピクチャーズ)以外が配給する洋画作品が動員ランキングで1位になるのは、ビターズ・エンド配給だった『パラサイト 半地下の家族』(19)以来。“初登場1位”に限定すると、国内メジャー会社である東宝配給の『名探偵ピカチュウ』(19)は例外として、ギャガ配給だった『ラ・ラ・ランド』(16)まで遡ることになる。
第95回アカデミー賞を席巻した『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(22)をはじめ、『ミッドサマー』(19)などのアリ・アスター監督作品や、『関心領域』(23)など、映画ファンから絶大な支持と信頼を集める作品を生みだしてきたA24。日本で同スタジオの作品が首位に立つことも今回が初めてであり、もちろんオープニング成績も新記録を樹立。いかに本作が注目度の高い作品であったことが容易に窺えるだろう。
こうした“インディペンデント作品”と聞くと、小規模でアート性の高い作品がイメージされがちだが、本作の場合は題材の持つ社会性(また、アメリカ国内が大統領選をめぐって分断しつつある情勢も相まって)もさることながら、スケール感や緊迫したシチュエーションへの没入感を高める映像、音響の演出が冴えわたったエンタメ作品としての側面も有している。そのため北米に続き、日本でもラージフォーマットでの上映が大好評。続編でもフランチャイズでもない本作がこうして存在感を見せつけたことで、極端な“邦高洋低”を覆す足掛かりとなってくれることを期待したい。