「ヴェノム」なのに泣ける…!瞬き禁物の超絶ラストバトル
クライマックスの死闘の舞台となるのは、SF映画好きならなにかしらの映画で一度は耳にしたことがあるであろう、そして憧れを抱いたことがあるであろう“エリア51”。まもなく閉鎖されようとしているこの軍事施設の奥で、密かにシンビオートの研究が進められており、そこがヴェノムたちの目的地となる。
これまでのシリーズを思い出してみれば、第1作ではマッドサイエンティストのカールトン・ドレイク(リズ・アーメッド)にシンビオートが入り込み一戦交えることとなり、第2作では凶悪殺人鬼のクレタス(ウディ・ハレルソン)がシンビオートに感染して凶暴なカーネイジが誕生している。つまりシンビオートであるヴェノムの敵もまた、シンビオートというのがお決まりであった。
ところが今回の敵であるゼノファージは“シンビオート・ハンター”。研究施設にはたくさんのシンビオートが保管されている…とここまで言えば、クライマックスのバトルがファンにとってたまらない展開になっていることは想像できるだろう。エリア51を一面火の海にしてしまう激しいラストバトルは、映像面からも音響面からもIMAXの持ち味がフルに発揮された、まるでアトラクションのようなスリル。
さらにそれを盛り上げてくれるのは、エディたちがラスベガスへ向かう途中で出会う家族の父マーティン(リス・エヴァンス)や、研究員のテディ(ジュノー・テンプル)をはじめとしたドラマティックな登場人物たち。誰の物語を切り取っても一本の映画ができそうなぐらいのドラマ性を携え、特にマーティンの姿にグッとこないSF映画ファンはいないはずだ。
とにもかくにも“俺たち”の熱い絆に、これでシリーズが完結してしまうことが惜しいと感じるファンは少なくないだろう。これまでシリーズを見守ってきた人はもちろん、本作で初めて“俺たち”の友情を目撃した人にとっても涙なしでは見られないフィナーレが待っていること請け合いだ。エンドロールの最後の最後まで見逃せない“俺たち”のラストダンスを、IMAXで存分に浸りながら見届けよう!
文/久保田 和馬