ソウソウ、やっぱり“ジグソウ”はカッコいい!【豆魚雷の「遊星からの物欲X」】

コラム

ソウソウ、やっぱり“ジグソウ”はカッコいい!【豆魚雷の「遊星からの物欲X」】

洋画やアメコミのグッズを多数取り扱うことで、映画ファンにお馴染みのキャラクターショップ「豆魚雷」のスタッフが、ホラーキャラクター&グッズへのアツい愛を叫ぶ連載「遊星からの物欲X」。第5回は、最新作『ソウX』も公開中の「ソウ」シリーズから"ジグソウ"ことジョン・クレイマーをピックアップ!単なる殺人鬼にとどまらない、複雑な人物像の魅力を語ってもらった。

頭脳明晰な”ジグソウ”ことジョン・クレイマーに惚れた!

『ソウX』はシリーズで初めて、ジグソウ=ジョン・クレイマーの視点で展開する
『ソウX』はシリーズで初めて、ジグソウ=ジョン・クレイマーの視点で展開する[c]2024 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

みなさんこんばんは、サムゲタン市川です。公開中の映画『ソウX』はもうご覧になられましたでしょうか?ジェームズ・ワンとリー・ワネルを製作総指揮に迎え、ジョン・クレイマー役のトビン・ベルとアマンダ・ヤング役のショウニー・スミスも復帰を果たし、これぞ正しく原点回帰!文字通りオールリセットを試みた前作『スパイラル: ソウ オールリセット』(21)から一転、正史にがっつり関わる形で新たなナンバリング作品が生まれ出でること、大変喜ばしい限りです。

『ソウ』(04)に始まるこのシリーズに、私が初めて触れた頃から思っていたことが一つ。「俺ァバカだからよく分かんねェけどよォ~、頭のいい悪役ってカッコいいんじゃあねェのか?」。“ゲーム”のみならず、映画そのものを掌で転がす“ジグソウ”ことジョン・クレイマーの存在がカッコよくてカッコよくて…そうして作品を追ううちに、気が付けば主人公となる”被験者”サイドではなく、”ジグソウ”サイドを愛するようになってしまいました。

世界中で大ヒットを記録した『ソウ』
世界中で大ヒットを記録した『ソウ』[c]Everett Collection/AFLO

そんな私へのご褒美かのように、『ソウX』はなんと“ジグソウ”サイドが主人公という10作目でありながら新鮮で斬新な設定に!シリーズファンとして、そしてジョン・クレイマーファンとして、これほどうれしいことがありますでしょうか。応援上映とかはないのかな。

今回は1作目の『ソウ』を中心に、ジョン・クレイマーのここが好き!というのをお伝えしていきます。もう『ソウX』を観たよ!という方もそうでない方も、これを読んでジョンのことをもっと好きになってくれたらうれしいです。

生きる意思を尊重する、唯一無二の殺人鬼

ジョンとアマンダがシリーズにカムバック!
ジョンとアマンダがシリーズにカムバック![c]2024 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

ジョン・クレイマーは手術不可能の脳腫瘍を抱え入院している中老の男性。しかしてその実態は、後ろ暗い過去を持つ者に死のゲームを仕掛ける猟奇殺人犯だったのです!

死体にジグソウ・ピースを刻むことから、新聞やマスコミは彼のことを“ジグソウ・キラー”と呼んでいます。しかし厳密に言えば彼が直接殺しを行うことはなく、相手を死に追い込むだけなので、殺人犯と呼ぶには分類がなんとも難しいところ。被験者は自傷行為を行っていたり、麻薬中毒に陥っていたり、放火により他人の命を奪っている者などなど。自分の“生”に感謝をしない連中には命の尊さを教え、他人の苦痛を笑う奴らには罪の償いをさせる、というのがゲームの目的であり、被験者が死亡するのはその結果にすぎません。

失敗すれば死に直結するゲームのなかで、生きるために血を流し、そして己の業を受け入れることで新たな目覚めを得る。方法はちょっと極端ですが、結果的に心の障害を乗り越える手助けをしているとも言えます。生還者の1人で、のちにジョンの後継者となるアマンダも、警察署での取り調べで「彼が助けてくれた」と語ります。あくまでも被験者の生きる意志を尊重するのが、ほかの一般的な殺人犯とは一線を画すポイントです。

ユニークな“ゲーム”の数々に脱帽

“ゲーム”の真の狙いは…
“ゲーム”の真の狙いは…[c]2024 Lions Gate Ent. Inc. All Rights Reserved.

劇中に登場するゲームの数々は、ほかの作品では見ることのないようなユニークなものばかり。例えば、かつて自分の手首を切った男はカミソリ・ワイヤーが張り巡らされた部屋に監禁され、身体を切り裂きながら制限時間内に脱出することを強いられました。放火犯の男は引火性物質を身体に塗りたくられた状態で、ガラス片が撒き散らされた部屋を蝋燭片手に裸足で探索し、壁に描かれた無数の数字のなかから金庫の解錠番号を探すという過酷な試練を課されました。


犯した罪と関連付けるかのような内容に加え、必ず血が伴うよう設計されたゲームの数々は、ジョンがアイデアマンであることを認めざるを得ません。惨たらしい死に方をすることは明白であるにもかかわらず、心のどこかで失敗することを期待してしまう。そんな邪な好奇心を掻き立てるゲームもまた、本作をより魅力的に演出する要素の一つ。 しかも装置は一つ一つハンドメイド!土木技師や建築家の経歴を持つことが後の作品で明かされますが、それ以上の学識と技術を有しており、如何に聡明な人物であるかが分かると思います。

次作『ソウ2』(2005)から最新作『ソウX』に至るまで、実に様々なゲームが被験者を待ち受けています。ジョンが背負う悲しい過去や“ジグソウ”となる経緯、アマンダを始めとする後継者の数々…。1作目が気に入った方は、全作品を観ればもっと好きになるはずです!

【豆魚雷】
1995年創業の「キャラクターショップ」。株式会社Ampusが運営する実店舗(高円寺店)、およびショッピングサイトで洋画やアメコミ、ゲームを中心としたフィギュアなどを始め、「豆魚雷」でしか買えない限定商品やオリジナル商品を多く取り扱っている。
最新情報は公式サイトhttps://mamegyorai.jp/をご確認ください。

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