「従来のサンタクロース=穏やかなおじいちゃんというイメージを覆された」
ヒーローコンビと共に、想定外の大活躍を見せるのがJ・K・シモンズ扮するサンタクロースだ。“レッド・ワン”のコードネームを持つ彼は、イブの夜に世界中の家々にプレゼントを届ける子どもたちのヒーローとして登場する。
「このサンタがこれまでのクリスマス映画にはいなかったようなキャラクターで、毎年恒例の大仕事に向け、それこそカラム以上にめっちゃ身体を鍛えてます。それだけプレゼント配りが体力仕事ということですね。従来のサンタクロース=穏やかなおじいちゃんというイメージを覆されました」と笑う鈴木は、そのキャラクター設定は、本作を製作したAmazon MGMスタジオと関係があるはずと指摘する。「世界中にプレゼントを届けるサンタの舞台裏のお話ですから、そのままAmazon(笑)。配送センターに集まったプレゼントをサンタが配って回る姿を、Amazonに引っかけているのが洒落ていますね。一軒一軒プレゼントを配送する姿も見せ場になっていました」。
また、この設定はファンタジーに不可欠な要素でもあるという。「流行るファンタジーは現実と結び付く着地点を持っています。プレゼントを配るサンタをAmazonに重ねることで『このお話、本当かも?』と感じさせることはファンタジーの入り口として大切だと思います」。
「この世に存在しない世界を作り上げるのはものすごい労力が必要」
本作は原作のないオリジナルストーリー。原案は『ワイルド・スピード スーパーコンボ』(19)や『ジュマンジ ネクスト・レベル』(19)など、ドゥエイン・ジョンソンと何度も組んでいるハイラム・ガルシアが執筆したもの。今年3月まで放送作家としてテレビを中心に映画や舞台の脚本家としても活躍してきた鈴木は、本作がオリジナル作品であることも高く評価する。
「オリジナルを作るのは本当に大変な作業で、特にファンタジーのように、この世に存在しない世界を隅々まで作り上げるのはものすごい労力が必要です。『ONE PIECE FILM Z』の脚本を手掛けた時にも、やはり原作の設定があるありがたみを感じましたね。それでも映画オリジナルのZのキャラクターを作り上げていくのは大変な作業でした。この作品ではサンタはどんな町に住んでいるのか、そこでどういう人たちが働いているのか、世界観や設定すべてを0から作っています。サンタに弟がいるという設定で兄弟の確執のドラマを膨らませたり、 おもちゃを大きくするビームや逆に体を小さくする光線といったアイデアや、それを伏線に使っていたりと脚本家や監督、スタッフたちのクリエイティブな仕事に驚かされました」と賞賛を惜しまない。
19歳の時に放送作家になり、それから32年間、様々なコンテンツを生みだす。現在は、「スタートアップファクトリー」を立ち上げ、スタートアップ企業の若者たちの応援を始める。コンサル、講演なども行う。