全世界で発行部数約1,000万部を超える大ベストセラー小説をブレイク・ライブリー主演で映画化した『ふたりで終わらせる/IT ENDS WITH US』が、11月22日(金)より公開となる。“愛する人からの暴力”に遭遇した女性の葛藤や戸惑いを、ライブリーが繊細な演技によって体現。力強く再生していく姿までをエモーショナルに演じきり、観る者の心をわし掴みにする。本作をいち早く鑑賞した、夫婦やジェンダー、子育て問題に積極的に取り組んでいる人気コラムニストの犬山紙子は、「リリーが負の連鎖を断ち切ろうとする強さに、ものすごく感動しました」と涙したことを告白。「人はいつでも立ち上がれることを教えてくれる映画」と力を込めながら、ライブリーの熱演や、難しいテーマに対して真摯に向き合った制作陣への敬意を語った。
リアルで誠実な描き方に驚き「暴力を振るう男性を見抜くのは、とても難しいこと」
若きセレブたちが繰り広げる日常を描いたドラマシリーズ「ゴシップガール」で一躍カリスマ的人気を博したブレイク・ライブリーが、主演だけでなく、プロデューサーも務めた本作。主人公となるのは、理想のフラワーショップを開くという夢を実現すべくボストンにやってきたリリー。クールでセクシーな脳外科医のライルと情熱的な恋に落ち、幸せで穏やかな日々を過ごしながらも、ライルのリリーを想う気持ちが次第に望まぬ形で加速していく様子を描く。原作に魅せられて映画化を進めたジャスティン・バルドーニがメガホンを取り、俳優としてライル役も担っている。
映画を観終わった犬山は、「会場全体がすすり泣きでいっぱいでしたし、私も泣いてしまいました。愛する人からの暴力がどういったものなのか。それを受けた人の感情、そして加害者側の感情にも、ものすごくリアリティを感じました。誠実につくられた作品だということが、映画の端々から感じられました」と興奮を口にする。
リリーとライルの関係性の築き方、感情のすれ違いなど、心情表現において細部までリアリティを追求していたと話した犬山。運命的な出会いを果たしたのち、リリーは情熱的な愛を傾けるライルに惹かれていく。「この映画では最初からライルを悪者として描いているのではなく、人としていいところもあるし、彼が誠実でとてもステキな人にも見える。その描き方がものすごくうまい」と舌を巻きながら、「付き合う前から、ライルは2人の関係をぐいぐいと進めようとしますよね。リリーがいくら“ノー”という意志を示しても、ライルはまったくそれを聞いていない。どんな関係であれ、生きていくうえではお互いの“ノー”を尊重し合うというのはとても大事なことです。その強引さから透けて見えるものはあるんですが、『この人は暴力を振るう男性だ』と見抜くことはものすごく難しいことでもあって。ましてや恋に落ちてしまった時にそれを見抜くのは、なかなかできないこと。ライルが、『これはどう見てもモラハラ男だ、DV男だ』と見抜ける相手ではないところもとてもリアルだと思います」と思いを巡らせる。
交際をはじめ、幸せな結婚にまで漕ぎ着ける2人だが、次第にライルのリリーに対する不穏な言動が浮き彫りとなる。当初、リリーにとってライルはとても理想的な恋人&夫に見える。だからこそリリー、そして観客も「彼が暴力を振るうなんて」と受け入れられずに戸惑うことになると、犬山は分析する。「劇中では、『これは暴力なのか?事故なのではないか?』と感じるような見せ方をしている場面もあって。日常の延長線上にあるものとして、暴力を描いていました。『自分が受けているものは果たして暴力なのか?どこからが暴力なのか?』とそのラインがわからずに相談できないという話も実際によく聞きますが、リリーもそういった状況に陥ってしまう。この描き方は、本当に絶妙でした」とうなりながら、「ライルは物を投げつけたり、怒鳴ったりすることでもリリーを怖がらせています。たとえ物が当たらなくても、相手が恐怖を感じ追い詰められてしまったら、『暴力』じゃないでしょうか」と持論を述べる。
■犬山紙子
1981年、大阪府生まれ。イラストエッセイスト、コラムニスト。2011年に出版した女友達の恋愛模様をイラストとエッセイで描いたブログ本が注目され、現在はテレビ、ラジオ、雑誌など幅広く活躍中。 2014年に結婚、2017年に第一子となる長女を出産してから、児童虐待問題に声を上げるタレントチーム「こどものいのちはこどものもの」の立ち上げ、社会的養護を必要とするこどもたちにクラウドファンディングで支援を届けるプログラム「こどもギフト」メンバーとしても活動中。女の子を育てるうえで大切にしたいことにフィーチャーする最新刊「女の子に生まれたこと、後悔してほしくないから」が発売中。