アルコ&ピースが上田慎一郎監督作『アングリースクワッド』に最大級の賛辞!「平子をダマすって、相当なもんですよ?」
「インテリア1つで説明しちゃうのがスゲえなあって」(平子)
──確かに。ちなみに、岡田将生さん演じる、この物語のもう1人の主人公たる天才詐欺師・氷室マコトについてはいかがでしょう?
平子「生成AIじゃないかって思うくらい美しく、一方で翳りもあるっていう。あと、僕が注目したのは氷室の部屋のインテリアなんです。すごく簡素な部屋の中に、多分、すごく貴重なパーテーションが1つ置いてあって。氷室という人物にもいろいろな面があるわけですけど、そのパーテーションがあることによってインテリジェンスを感じさせる要素になっていて。僕がインテリア好きだからというのもありますけど、ひと目で彼のバックグラウンドが見えたんです。なので、あのパーテーションを置いたスタッフさん…美術監督さんとめちゃめちゃ話したいんですよ。『どういう意図で置いたんですか!?』って」
酒井「へえ〜!スゴいところ見てるな」
平子「そのこだわりの強さに、人物像を感じとることができたんですよね。直線が多くて簡素で清潔感がある部屋なんだけど整然としていて、ともすれば(『新世紀エヴァンゲリオン』の)綾波レイの部屋のようになってしまうところを、インテリア1つで説明しちゃうのがスゲえなあって」
──そういった視点を持ち合わせていなかったので、目からウロコでした!
平子「見方によっては無機質にも感じられてしまう部屋の中で、唯一人間性が感じられる置物というか。あのパーテーション1つで氷室の感性や感覚を如実に表しているように、僕には見えたんですよね。まあ、その部屋のキッチンでつくるパスタもおしゃれではあったんですけど(笑)、そういったところで氷室という人を説明せずに深掘りしているのが見事だなと思いました」
──確かに。酒井さんからご覧になって、氷室というキャラクターで気になった部分はありましたか?
酒井「そうですね…妙にファンタジーな存在になりすぎないように見せているのかな、と僕は思いました。刑務所から出てきて、すぐにアイスを食べていたりするところとか、人物描写が巧いなあって」
平子「天才が脳みそを働かせるために糖分を摂取する、と思わせておいて…ああ、ここから先はネタバレだから話せないわ(笑)。でも、ただなにか食べさせるならアイスじゃなくてもチュッパチャプスでもなんでもいいわけじゃないですか。いや…もしかしたら上田監督のことだから『安い描写に思わせておいて、実は…』って計算していたかもしれないなあ」