BE:FIRSTの初の東京ドーム公演を贅沢な没入感で体験!『BE:the ONE -MEANT TO BE-』SceenX版レビュー
BE:FIRSTの夢を共有してもらったような感覚…次の景色も楽しみ
「大きく鮮明に見える」と述べながら矛盾するようだが、ふとした瞬間に東京ドームの広さや遠さをしっかり感じることができるのも、「約束の日」を描いた本作だからこその見せ方であり、見どころであると思う。しかし、メンバーの背中越しに見えるBESTYは、思うよりも遠くなかった。彼らはこんな景色を見ていたのかと、映画を通し、7人の夢を少しだけ共有してもらったような気持ちになる。
これは勝手な想像なのだが、生バンドを交えての「Scream」の頃には、彼らはもう、東京ドームを狭いと感じ始めていたのではないだろうか。“堂々”といった類の言葉で表すのはぬるいくらいの、存在感と掌握力。それはスクリーンなどゆうに超えてくる。BE:FIRSTは、この日初めて立ったはずの東京ドームさえも、自分たちの居場所に変えていた。
つくづく彼らは、「個」であるからおもしろい。同じ夢を見、同じ想いを抱き、同じ音楽を届けながらも、7人それぞれに自分の世界があり、自分の表現があり、それが1つになってBE:FIRSTがある。彼らが、「BE:FIRST」という名を与えられた意味。そして、その名にふさわしくあるために走ってきた道のり、その名を誇りに進んでいく背中を、あらためて実感する作品でもあった。「Shining One」のタイミング、そのなんとニクいことだろう。
ドーム公演当日の動員は、およそ5万人。しかしScreenXに広がる世界では、10万人にも15万人にも見えた。そして、そのほうが彼らに似合うと思った。「世界連れてってやるよ!」という言葉に、改めてハッとする。日本発のグループが、この“バカでいいやつ”たちが、日本からムーブメントを作る未来がきっとくる。いま、この波に乗るべきなのではないかと突き動かされた瞬間が何度もあった。3つのスクリーンに広がる無数のペンライトは、間違いなく、そう遠くない未来の現実だ。
終盤、「Glorious」「Message」と続くボーカル曲。なんとも愛おしそうな表情でBESTYを見つめるメンバーたち。どこかのスタジアムか、あるいは音楽さえあればどこでも。言葉を超え、きっと世界のどこかで、この“ラララ”の大合唱がもっともっと大きな声で響く。近い未来の次なる景色が、白昼夢のようにダブって見えた。
文/新亜希子