ドウェイン・ジョンソン×クリス・エヴァンス『レッド・ワン』が北米No. 1発進!本格化するホリデイシーズンに“奇跡”は起こるのか

コラム

ドウェイン・ジョンソン×クリス・エヴァンス『レッド・ワン』が北米No. 1発進!本格化するホリデイシーズンに“奇跡”は起こるのか

先週末(11月15日から17日)の北米興収ランキングは、ドウェイン・ジョンソンとクリス・エヴァンスが共演した『レッド・ワン』(日本公開中)が初登場でNo. 1を獲得。まずはこの作品のオープニング成績からチェックしていこう。

【写真を見る】『ジュマンジ』の監督とドウェイン・ジョンソンが再タッグ!王道クリスマス映画として輝けるのか
【写真を見る】『ジュマンジ』の監督とドウェイン・ジョンソンが再タッグ!王道クリスマス映画として輝けるのか[c]Everett Collection/AFLO

クリスマスイブ直前に誘拐されたサンタクロースを救いだすために、サンタクロースの護衛隊長を務めるカラム(ジョンソン)と賞金稼ぎのジャック(エヴァンス)が世界を股にかけて奮闘するアドベンチャーコメディである『レッド・ワン』。初日から3日間の興収は3210万ドルと、公開規模の大きさや2億5000万ドルにものぼる製作費を考慮するといまひとつのスタート。現地メディアの言葉を借りれば“クリスマスの奇跡”が起きない限り、製作費の回収は困難な状況ともいわれている。

とはいえ本作は、北米ではAmazonMGM Studioが配給を担当。元々は昨年のホリデイシーズンに配信での公開が予定されていたが、ストライキの影響で制作が遅延。さらにジョンソンがIMAXでの上映を進言したことなどから大々的な劇場公開にこぎつけたという背景がある。ここ最近、ストリーミングを前提にした大作は劇場公開であまり望ましい成績を収められなくても問題ないという流れができているが、本作もそのひとつだろうか(もっとも、まだ北米での配信開始日は決定していないようだが)。

批評家からは散々な評価も、観客からは大好評!
批評家からは散々な評価も、観客からは大好評![c]Everett Collection/AFLO

あくまでも劇場展開という面に目を向け直すと、本作と同じジェイク・カスダン監督とジョンソンのタッグ作には『ジュマンジ:ウェルカム・トゥ・ジャングル』(17)がある。同作は2017年のクリスマスに公開され、オープニング興収は3619万ドル。しかしそこから年末年始を抜群の成績で駆け抜けロングヒット。累計興収は4億ドルを突破している。そこまでの“奇跡”的なヒットが再び起こる可能性は低いが、この座組にそれだけのポテンシャルがあることは間違いない。


さらに批評集積サイト「ロッテン・トマト」を見てみると、その『ジュマンジ〜』は批評家からの好意的評価が72%、観客からの好意的評価が87%と高い数字を収めているのに対し、『レッド・ワン』の場合は批評家からは32%と酷評が集中。しかし対照的に観客からのスコアは90%と『ジュマンジ〜』以上。クリスマス色を全面に出したブロックバスターということもあり、これからのシーズンに劇場で賑やかに観るには打ってつけ。少なくとも向こう1ヶ月は安定した成績を維持しつづけるのでないだろうか。

ジェシー・アイゼンバーグの監督第2作『リアル・ペイン〜心の旅〜』が拡大公開でトップテン入り!
ジェシー・アイゼンバーグの監督第2作『リアル・ペイン〜心の旅〜』が拡大公開でトップテン入り![c]Everett Collection/AFLO

もう一本取り上げたいのは、公開3週目を迎え、12館から一気に1185館まで上映館数を増やしてトップテン入りを果たしたサーチライト・ピクチャーズの『リアル・ペイン〜心の旅〜』(2025年1月31日日本公開)。ジェシー・アイゼンバーグが監督と主演を務め、キーラン・カルキンが共演。二人が演じる長らく疎遠だった従兄弟同士が、亡き祖母の生家を訪ねるためにポーランドの第二次世界大戦にまつわる史跡をめぐるツアーに参加するという物語だ。

この時期に公開されるサーチライト作品となれば、アカデミー賞レース参戦への期待値が高いタイトルであることはいうまでもない。例年サーチライトからノミネートされる作品は、10月から12月前半にかけての賞レースにはちょうどいい時期に公開される傾向があり、今年はヨルゴス・ランティモス監督の『憐れみの3章』(24)が6月に公開済みで、ティモシー・シャラメ主演の『名もなき者/ A COMPELETE UNKNOWN』(2025年2月28日日本公開)は年末ギリギリの北米公開。後者か本作で、スタジオ側はオスカーキャンペーンを本格化させると推察できる。

批評家から大絶賛を獲得!第97回アカデミー賞でサーチライト代表として名乗り
批評家から大絶賛を獲得!第97回アカデミー賞でサーチライト代表として名乗り[c]Everett Collection/AFLO

しかも「ロッテン・トマト」によれば、『リアル・ペイン〜心の旅〜』の批評家からの好意的評価の割合は96%とすこぶる高く、現時点で作品賞レースの有力コンテンダーと目されている作品たちと比較しても、『Sing Sing』の98%、『ANORA/アノーラ』(2025年2月28日日本公開)と『The Brutalist』の97%に次ぐ数字。とりわけ脚本賞とキーラン・カルキンの助演男優賞が有力視されているが果たして。12月から本格化する賞レース前哨戦では、同作の活躍に注目しておきたい。


文/久保田 和馬

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