赤楚衛二が語る、映画『六嘘』の“表と裏”「本当の大学生みたいに青春してました」【『六人の嘘つきな大学生』公開記念インタビュー連載】

赤楚衛二が語る、映画『六嘘』の“表と裏”「本当の大学生みたいに青春してました」【『六人の嘘つきな大学生』公開記念インタビュー連載】

「みんな、こんなひどい顔をするんだと思って、ちょっとショックでした」

――皆さん、自分の見せ場のシーンの撮影の日はすごく緊張されたようですが、赤楚さんはいかがでした?

「いや、僕はあまり緊張しなくて。波多野の見せ場はどちらかと言うと後半じゃないですか。それまでにほかの人たちの芝居の積み重ねがあったし、みんな仲間だと信じていたから、安心して臨めました。なのに、最後にあんなに冷たい顔をされるから、普通に傷つくよなあと思っていました(笑)」

信頼関係を築いていたはずの6人は、告発文の存在によって互いを疑うようになる
信頼関係を築いていたはずの6人は、告発文の存在によって互いを疑うようになる[c]2024「六人の嘘つきな大学生」製作委員会

――アリバイがないだけで犯人扱いされて、ほかのみんなから白い目で見られる一連ですね。「えっ、ちょっと待ってよ。なんか、おかしくない?僕、いま、疑われてるの?」って動揺するあたりは、お芝居とはいえつらかったでしょうね。

「いや、めっちゃつらいですよ。本当に仲良くなりたかったし、実際、撮影の合間もすごく仲が良かったから、それも相まって、みんな、こんなひどい顔をするんだと思って、ちょっとショックでした」

――好意を持っていた嶌(浜辺)さんには目を逸らされますしね。

「そうなんです。嶌さんにちょっと好意がある設定ではあったんだけど、“友だちじゃん!”と思っていた彼女にも避けられて、けっこう傷つくことが多かったですね」

――でも、そこからの気持ちの切り替えが波多野はめちゃくちゃ速いですよね。「僕が犯人だと思っている人は手を挙げてもらっていい?」と聞き、みんなの反応を確認してから、嶌さんを守るために開封されていない彼女の告発文と写真が入っている封筒を持って退室するわけですけど、あそこの撮影はいかがでした?

「頭の回転が速いなとは思いました。追い詰められたあの最悪な状況で、嶌さんを救うために未開封の封筒をスーツのポケットに入れ、部屋を出ることなんてなかなか思いつかない。でも、それをパッとやってしまうと嘘っぽくなってしまうので、 少し間を取ってから動くようにしました」

波多野と嶌の関係性も、物語の重要なカギになる
波多野と嶌の関係性も、物語の重要なカギになる[c]2024「六人の嘘つきな大学生」製作委員会

――そのサジ加減が難しいところですよね。やり過ぎるとわざとらしいし、やらないと気づいてもらえなかったりしますから。

「こういうシチュエーションなので、芝居がどうしてもオーバーになりがちで。感情が激しく動くところだから過剰になってもいいんだけど、トリックの関係で引き算もしなければいけない。そのバランスが絶妙だったと思います」

「本当の大学生みたいに青春してました(笑)」

――最初に「ほかの5人との共演は勉強になることもある」と言われましたが、実際に共演されて刺激を受けた点があれば教えてください。

「いやあ、とにかく皆さん達者でした。まだみんな20代ですよね?僕はその年齢の時に『仮面ライダービルド』の仮面ライダークローズを演じていたけれど、芝居であんなに絶妙なラインを突いたり、与えられたキャラクターを活かしきれていなかったと思うので、学ぶことが多かったです。それに、なによりみんなフレッシュで、いいものを作りたいという気持ちが強かったから、彼らと一緒に仕事ができて本当によかった。シンプルに波長が合う人たちでしたしね」

――撮影に入る前に、赤楚さんがみんなに「タメ口にしよう」って言われたそうですね。

「言ったかな?気を遣われるのがあまり好きじゃないっていうのもあるし、僕も相手が1歳でも年上だったら敬語になっちゃうんですけど、今回は敬語を使われると、同年代の就活生なのにチーム感が出ないと思ったので、タメ口にしてもらったのかなと。まあ、美波ちゃんと山下美月ちゃんは共演歴もあって、僕がどういう人間かもわかっているから、最初からタメ口でしたけど、(九賀役の)佐野(勇斗)くんや倉くんは途中まで敬語だったかな?でも、波多野というキャラクターはみんなと仲良くすることが一番大事だと思っていたので『タメ口にしてくれ』と頼んだはずです」

撮影を通じ、本当に仲良くなったという6人のキャストたち
撮影を通じ、本当に仲良くなったという6人のキャストたち[c]2024「六人の嘘つきな大学生」製作委員会


――そんな仲良くなった皆さんとの撮影の合間の思い出は?

「撮影したのが去年の夏で、ちょうど近くで花火大会をやっていたから、角川大映スタジオの屋上からみんなで花火を見ながらご飯を食べたりして。本当の大学生みたいに青春してました(笑)」


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