「役柄と違って、全員が“誰かを陥れよう”といった発想がない人たちでした(笑)」
――本作のように、同世代の俳優が結集してお芝居をする撮影ならではの、刺激を受けた点があれば教えてください。
「撮影の合間に、(森久保を演じた)映画好きの倉(悠貴)くんが、私が絶対に観ないような映画をいっぱい薦めてくれました。彼はお洋服にもすごく詳しいですし、そういう一つのことを極める集中力があるんです。ほかの人とは違った視点で、現場を俯瞰している感じもおもしろかったです」
――先ほど言われた話し合いのタイミングなどで、積極的に意見を出すことが多かった人は?
「みんな積極的でしたが、倉くんはそういう意見が出た時に真剣に考えて、『確かに!』って味方になってくれる人でした。常になにかを考えていて、普段はどちらかと言うと無口だけど、“間違ってない”と思ったら全力で応援してくれました。でもそれは倉くんに限らず、みんなそうだった気がします。役柄と違って、全員が“誰かを陥れよう”といった発想がない人たちでした(笑)」
――“裏の顔”を隠し、クールに物事を進める九賀蒼太を演じた佐野勇斗さんの印象は?
「佐野くんはハツラツとしていておもしろいし、身近に感じられる人でした。インスタライブとかもすごく個性的じゃないですか?でも、今回の現場では、意外とイジられキャラと言うか、みんなから茶々を入れられる役回りになることが多くて。それをクールに全部撥ね飛ばして笑いに変えちゃうのが佐野くんのスゴいところ。MCも上手いし、M!LKでのグループ活動を経て身につけたあの協調性は私も見習いたいと思いました」
――矢代つばさに扮した山下美月さんはいかがでしょうか。唯一の女性の共演者です。
「山下さんも私のイメージとは全然違う人でした。もっとアイドルっぽいのかな?と思っていたのですが、すごくさっぱりした性格で。乃木坂46の山下さんの卒業ライブで、後輩や同期の子たちが号泣していたのがわかるぐらい、気遣いができて、温かみのある素敵な人なんだろうなと、私も今回の現場で感じて。頼り甲斐があるし、なんでも聞いてくれて、おもしろく返してくれる。冗談もすごく上手いんです(笑)」
――劇中には嶌さんと矢代がバチバチするシーンもありましたが、あのあたりの撮影はいかがでした?
「怖いな~と思いました(笑)。山下さんはやっぱり目力がスゴいので、それまで優しかったのに、本番になった途端にキッて睨むから、もうその目しか見られなくなってしまって。ああいう女性同士の戦いや嫌味の言い合いみたいなものは実生活では避けがちですが、あの追い詰められた環境ではそれが出てしまうんだなということも実感しましたし、苦しかったです」
――一番最初に告発される袴田亮を演じた西垣匠さんも、そこでイメージが180度変わるような役どころでしたが、実際の西垣さんはどんな方でした?
「普段は爽やかボーイです。事務所が同じで、同郷でもあるので親近感があって、それもうれしかったです。現場では、監督から場を盛り上げるキャラの指導を何度も受けていましたが、最初のほうで初めて6人が対面するファミレスのシーンでは、西垣くんが本当に大声でみんなを盛り上げて、場の空気を作ってくれました。あれでみんなと仲良くなれるなと思いましたし、そこに説得力が出たような気がします」
――赤楚さんとのお芝居は、“嶌が波多野の好意を利用していた”という最後のオチとも関係してくるので難しかったと思うのですが、そのあたりはどうでした?
「相手の好意を利用するのって、たぶん多くの人が自然にやっていることだと思うんです。でも、みんなが当たり前のようにやっていることにも嶌さんは罪悪感を覚える良識のある人なんだろうなと、演じながら思いました。後悔や申しわけないという気持ちがあるし、それをわかっていてあんな行動に出る波多野の優しさにも苦しんでいる。そのことが伝わるように演じるのが難しかったです」