「正解がわからないから、ずっと不安でした」
――最終ディスカッションのシーンは1週間ぐらいかけて撮ったそうですけど、あの緊張感をどうやって維持していたんですか?
「見せ場が毎日変わって、主役がどんどん入れ替わっていくような現場だったのですが、翌日が自分の見せ場の撮影になる人は前日の夜から顔色が違っていました。『明日は俺だ、明日は俺だ』って言っていたり、当日の朝も『このあと、俺の撮影だ』って言いながら緊張したり、気合いを入れたりしていたので、ゆるゆると撮影が始まる日は意外となくて。その連日の熱気がみんなを“やるぞ~!”という気持ちにまで高めていたと思います」
――浜辺さんもあの最終ディスカッションのシーンの前日や当日は緊張されたんですか?
「私は会議室に登場するシーン以外はほぼ座っているだけだったので、あの一連はそんなに緊張することはありませんでした。ただ、セリフが多い人や立ち回りがあった人たちのほうが大変だったと思うのですが、座りっぱなしでセリフが少ないからこその悩みもやっぱりあって。全員の芝居を引きで撮っている時は普通に演じられるんです。でも、嶌さんの顔をアップで抜かれた時に“他意があり過ぎないか”とか“嫌な女に見え過ぎないか”とか、いろいろなことが気になってしまいました。後半は特に、待機場所に戻ってからも『いまので合ってたかな?』と言っていたぐらい(笑)、正解がわからないから、ずっと不安でした」
――ほかにも大変だったところはありますか?
「私が大変だったのは、やっぱり8年後の現代のシーンです。しかも、8年ぶりにみんながあの会議室に集まるシーンの撮影の前日から、監督がずっと『大変だね~』って言うので、それもプレッシャーで(笑)。『イヤだ~!』って笑ってごまかしていたけれど、 “始まる、始まる”ってずっとドキドキしていました」
――8年後のあの一連はどんなことが大変だったんですか?
「後半に照明がすべて変わって、波多野が登場するシーンが、確か台本には『波多野の姿が皆の前に現われたように見える。』と書いてあったのですが、どうやって撮影するのかは聞いていなくて。しかも、登場前のくだりと登場後のくだりを先に撮って、最後にあの波多野の登場を撮影することになったので、“なるほど”と思ったけれど、動揺してしまって。みんなも赤楚さんの声だけで撮影するとか、違う想像をしていたから、倉くんなんて「『…ように見える。』じゃなくて全然いるやん!なんで来るの?」って赤楚さんに詰め寄っていました(笑)。そこから、8年前と帳尻を合わせた方がいいのか、無視してしまってもいいのか、ということを話し合っていったのですが、みんな一瞬混乱したのを覚えています(笑)」
――赤楚さんは現場に普通に現われたんですか?
「赤楚さんだけはどういう撮影になるか知っていたんです。赤楚さんは『自分が登場する前のシーンも見ておきたい』と言っていたのですが、『亡くなった波多野のことを思いながら芝居をしているので、来ないで!』と全員で断固拒否して。赤楚さんがいらっしゃらない状態で撮影に挑みました」
――続いて告発によって裏の顔が暴かれる本作に因んだ質問です。6名の中から、どなたかのあまり知られていない魅力や意外な素顔を告発してください。
「お菓子の間食が意外に多かったのは赤楚さんです。赤楚さんが毎日すごい量のお菓子を買ってくるので、その誘惑に負けて節制している人まで食べ始めてしまって(笑)。あと、みんなでご飯に何回か行ったのですが、一番人付き合いがいいのが西垣くん。赤楚さんがサウナに誘った時も一緒に行っていたみたいです」
――ちなみに、浜辺さんがもし就職活動をすることになったら、どのように自己PRをしますか?
「このお仕事をせずに、普通に学生生活を続けていたら、卒業までに就活に有利なことをいろいろしていたと思います。生徒会の役員をやったり、○○委員長とか、そういうことを頑張ってやるタイプなので、そこを最大限プッシュします」
――エントリーシートの長所や特技を書く欄にはなんと書きますか?
「“資料や物語から大事なことを読み解く力”かな。文章を読んで、そこから“学び”を得るのが好きなので、それを書くと思います」
――これまでの人生にも、これは絶対に勝ち取りたいとか、このオーディションには絶対に受かりたいと思ったことはあったはずです。そうした時に、願掛けだったり、自分の中でルーティンのように決めているようなことはありますか?
「オーディションを受けていたころは、落ちるのが当たり前になってしまっていて、いま振り返った時に、毎回100%本気で挑んでいたかと言われると、そうではなかったように思う部分があって。でも、いまもし受けることになったら自信を持つためにも事前準備をもっとすると思います。あと、緊張するとお腹が痛くなるので、そうならないように、カイロでお腹を温めるようにすると思います(笑)」
取材・文/イソガイマサト