「スター・ウォーズ」meets『グーニーズ』!「スケルトン・クルー」から溢れ出るアンブリンのエッセンス
子どもと大人の絆や駆け引き…アンブリン作品同様に大人も子どもも楽しめる!
前振りが長くなったが、「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」とアンブリンの関係をみていこう。まず多くの人がピンとくるのはた『グーニーズ』(85)。将来の見えない、窮屈で退屈な日常からはみ出してしまった子どもたちが、未知の世界で冒険を繰り広げるのは、まさにそのもの。男子のウィムとニール、女子のファーンとKBは性別という理由だけで対立したりもするが、それぞれの特技を活かして難局を乗り切る。そんな子どもらしい生命力も『グーニーズ』との共通点だ。
ワッツ自身も本作からの強い影響を公言している。『グーニーズ』の監督リチャード・ドナーは2021年に世を去ったが、その直前に面会したワッツは「スケルトン・クルー」のために、子役を選ぶ際の助言を求めたという。ドナーは言った“キャラクターの精神が憑依するほどの子役を探せ”――その結果選ばれたのが、4人の子役。演技のうえでは、生き生きしている時は本当に楽しそうだし、ブルーな時は声をかけてあげたくなる。まさに愛すべきキャラクターたちと言えるだろう。
異星生物との交流という点では、『E.T.』を彷彿させるものがある。そもそもウィムは人間だが、親友のニールは象のような顔をしたエイリアンだ。また、シリーズの前半では理由が明らかにされていないが、ウィムはシングルファーザーに育てられており、母親がいない。シングルマザーに育てられていた『E.T.』の主人公の少年と同様に、そこには深いなにかがあるのかもしれない。
子どもたちには彼らを導くメンターが必要だ。「スケルトン・クルー」では、それがジュード・ロウ演じるジョッドということになる。しかし、彼が正しい道を示してくれるかどうかは非常に怪しい。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)の主人公の高校生マーティにとってメンターは科学者ドクだったが、このキャラもかなりクレージーで、どこまで信じてよいのかわからない部分があった。子どもと大人の絆や駆け引きもまた、アンブリン的な要素と言えるだろう。
そのほかにも、少々怖い未知の体験という点では『ポルターガイスト』(81)や『グレムリン』(84)に通じ、4人組の冒険という点では『ファンダンゴ』(85)、宇宙船のメカニック的な魅力は『インナースペース』(87)などなど、アンブリン作品を連想させる要素には事欠かない。エピソードが進めばその要素はさらに出てくるだろう。現段階で言えることは限られているが、これだけははっきりしている。アンブリン作品がそうであったように、大人も子どもも楽しめるのが「スター・ウォーズ:スケルトン・クルー」なのだ。
文/相馬学