最新の健康法は”食べないこと”?社会風刺が効いたスリラー『クラブゼロ』ミア・ワシコウスカにインタビュー
「人前に出て騒がれるのは好きではないので、インディペンデント系の作品に惹かれてしまう」
『アリス・イン・ワンダーランド』の主役で大ブレイクし、ハリウッド大作でも活躍するかと思いきや、ミア・ワシコウスカは拠点を地元のオーストラリアに移し、世界中の監督と仕事を続けている。作品のチョイスも個性的でエッジが効いていたりと、様々な演技に挑んでいるのは、俳優としての理想的キャリアかもしれない。
「どちらかと言えば人前に出て騒がれるのは好きではないので、インディペンデント系の作品に惹かれてしまうようです。映画作りの喜びは、多くの人と一緒になにかを創造していくプロセス。脚本家や衣装デザイナー、作曲家などみんなの才能が1か所に集まって、子どもたちがゲームを楽しんでいるような感覚も好きなんです。俳優業は本当におもしろい仕事ですよ」。
もちろんハリウッド大作をあえて敬遠しているわけではなく、「トム・クルーズの作品や『007』シリーズのオファーがあったら?」というこちらの質問に、「ギャラ次第ですね(笑)。でも絶対にオファーされないと思う」とワシコウスカは微笑む。
ここ数年で観た映画で気に入ったものに、アイルランドの『コット、はじまりの夏』(24)とジョージアの『ブラックバード、ブラックベリー、私は私。』(2025年1月3日公開)を挙げるワシコウスカ。そこからも彼女のセンスがよくわかる。
コロナ禍を経て最初の仕事となった『クラブゼロ』は、「生徒役の俳優たちと一緒に仕事をするのが本当にうれしかった。ティーンエイジャーの正直な部分に心打たれた」と、忘れがたい思い出になったというワシコウスカ。そんな彼女にとっても、完成した作品を観て驚いたことがあるという。
「ラストシーンですね。あの映像を観た時、『これはちょっと珍しい。スゴい映画かも』と感じたからです。監督のジェシカはどんな意図だったのか。とても巧妙で、興味が募る幕切れでしたね」。主演を務めたワシコウスカも動揺をおぼえたという『クラブゼロ』のラストを、ぜひまっさらな気持ちで味わってほしい。
取材・文/斉藤博昭