『モアナと伝説の海2』が、北米に続いて日本でも大ヒットの船出!ディズニーアニメは“続編”が今後の主流に?
12月6日から12月8日までの全国映画動員ランキングが発表。日本よりもひと足先に公開を迎えた北米では、早くも興行収入3億ドルを超えるメガヒットとなっているウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ(WDAS)の最新作『モアナと伝説の海2』(公開中)が日本でもロケットスタート。初登場No. 1という称号と共に華々しい船出を飾った。
前作を上回るオープニング成績で『モアナと伝説の海2』が1位スタート!
2017年の春休みに公開され、興収51億6000万円の大ヒットとなった『モアナと伝説の海』(16)の続編である『モアナと伝説の海2』。初日から3日間(12月5日の先行上映分も含む)の観客動員は67万9000人、興収は9億3800万円と、今年公開された洋画作品としてはNo. 1のオープニングを記録。前作のオープニング成績と比較すると、動員は119%、興収は131%と抜群だ。
ディズニー作品(ここでは便宜的にピクサー作品を含まずWDASの長編作品に限定させてもらう)はここ20年近くのあいだ、北米では(例外もあるが)基本的に映画市場の最大の書き入れ時である感謝祭タイミングに公開されてきた。一方で日本では、映画業界の慣例的に洋画作品は数ヶ月遅れで公開されることがほとんどで、主なターゲット層を考慮に入れてか春休み公開というケースが多い。しかし北米からわずか1ヶ月遅れで公開された『ベイマックス』(14)が興収91億8000万円という特大ヒットを記録したことが転機となったのか、それ以降は北米からさほど間隔を空けずに日本公開されている。
その10年間で公開された作品は、一本を除いて北米から1ヶ月程度での公開か、日米同日公開。その一本が『モアナ』の前作であるが、それは同年の年末に超大作がひしめき合っていたことが一因と考えることができる。『ベイマックス』から今回の『モアナ2』までちょうど10本。興行成績的には一長一短のようにも見えるが、コロナ禍というイレギュラー中のイレギュラーを除けば、それ以前よりもはるかに安定した興収をあげるようになったことは明らかであろう。もちろん『ベイマックス』直前の『アナと雪の女王』(13)の影響で、ハードル自体が異様に高くなっていることは否めないのだが。
とはいえその『アナ雪』も、オープニング成績は日米同日公開の『アナと雪の女王2』(19)の方が上回っている。特に象徴的だったのは、まちがいなく傑作でありながら地味な印象が拭えなかった『シュガー・ラッシュ』(12)の続編が、1作目以上の興収を収めたこと。よくよく考えてみると、WDAS作品で正統続編が劇場公開されたのはこの2タイトルと30年以上前の「ビアンカの大冒険」のみ(念のため、『ピーターパン2』はディズニートゥーン・スタジオ作品)。先に述べた公開時期の利点だけでなく、ディズニー作品はホームメディアなどで広がり劇場公開後も人気を高めつづけることを「アナ雪」と「シュガラ」が証明したのである。
そう考えると、ヒット確実な続編タイトルを劇場向けにあまり生産してこなかったディズニーが、今回の『モアナ2』も含めて急に方針を転換したと捉えることができるのだが、それはコロナ禍でビジネスモデルの変更を余儀なくされた結果である以上仕方あるまい。『モアナ2』も計画が発表された段階ではディズニープラスでのアニメシリーズだったが、その後こうして長編映画に切り替えられた経緯がある。それでもこのように、北米でも日本でも大成功となっていることは非常に大きな意味があり、来年に控える『ズートピア』(16)の続編や2027年以降にある「アナ雪」の続編、ひいては他のタイトルにも展望が一気に開けることだろう。