『映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」』天海祐希&上白石萌音が見つめ直したダークな感情との向き合い方「もう悩まない。でも、若いうちはいっぱい悩んだほうがいい」
「『ピュアな私の願いってなんだろう?』ってすごく考えさせられたんです」(上白石)
――大人も思わず自分の胸に手を当て我が身を振り返ってしまうような苦い教訓が描かれている物語でもありますが、お2人は、よどみにたたりめ堂に招かれたらどうします?
上白石「私はビビりだから、あの路地の途中で足がすくんで引き返していると思います(笑)」
天海「たたりめ堂にしても、銭天堂にしても、みんな“いまこの瞬間の願い”を叶えたくて行くじゃないですか。でも、大人になった私たちが願うことって、もっと長期戦なんですよ。時間をかけて最終的にたどり着ければいいなと思っているから、その場しのぎのことには手を出さないかもしれない」
上白石「銭天堂で紅子さんから『なにがほしいの?』って訊かれた時に『私だったら、紅子さんに、自分の願いのどの部分をどう抽出して、どんな言葉で伝えて、どんなふうに協力を求めるだろうか…。計算や打算抜きの、ピュアな私の願いってなんだろう?』って、映画を観ながらすごく考えさせられたんです。どんな言葉で伝えて、どう周りの人たちと一緒に頑張っていったらいいか。そのすごくピュアな答えの一つが、この映画のなかにはあるような気が私はしています」
天海「子どもさんは『テストでいい点がとりたい』『モノマネがうまくなりたい』って、自分の欲望をまっすぐ伝えることができるけど、大人は絶対ちょっとかっこつけるじゃないですか。『私としては、別にこんな駄菓子に頼らなくてもいいと思っているんだけど…。たまには、こういう駄菓子も必要かなと思って…』みたいに、つい前置きしたくなるじゃない?」
上白石「私もそう言っちゃいそう…(笑)」
天海「でしょ?でも日ごろから本当に自分が望んでいることはストレートに口に出して、目標を明確にしておくのも大事だったりするのかも。それで、いざチャンスが訪れたら、よこしまな気持ちを失くして必死に頑張ることが、自分の望みを叶える近道なのかもしれない」
上白石「確かに。いつ銭天堂にたどり着いてもいいように…(笑)」
天海「前置きナシで、大人もズバッと言えるようにしておくのが、大事なんでしょうね(笑)」
取材・文/渡邊玲子