森川葵が「見守ってくれて、安心できた」と告白!SF×純愛の難題に挑んだ『恋と嘘』の秘密に迫る
マンガアプリ「マンガボックス」にて連載中から人気を博し、単行本化、アニメ化もされ、現在も連載中の人気漫画「恋と嘘」が、連載中の原作とつながりを持つアナザーストーリーとして実写映画化された。
本作は、出生率の劇的な低下を食い止めるため“超・少子化対策法”という法律が制定され、遺伝子情報などを元に政府が国民の最良のパートナーを教えてくれる政府通知が人々に受け入れられている、近未来の日本が舞台。人よりちょっと優柔不断な主人公・仁坂葵は、通知が教えてくれる相手をずっと心待ちにしている女子高生。そんな葵は、誕生日前日、幼なじみの優翔に突然「好きだ」と告白される。優翔の気持ちに戸惑う葵のもとに、無口でミステリアスな蒼佑が政府通知の相手として現れる。葵は蒼佑に心惹かれていくのだが…。
ハードなSF設定と純愛映画の融合という、邦画では類を見ない本作において、共感できる作品となるためのカギが、ヒロインのキャスティングだった。女子高生らしい感情の揺れ動きと、近未来に生きる若者のリアリティを両立する演技ができると白羽の矢が立ったのが、森川葵だ。昨年は6本の出演映画が公開され、今後も本作を含め5本の映画がすでに公開待機中、さらに10月クールからスタートする櫻井翔主演のドラマ「先に生まれただけの僕」にも主要キャストとして参加するなど、まさに今最も旬な若手女優と言えるだろう。
彼女の魅力は、その黒髪ロングの端正なルックスだけではなく、ドラッグ中毒のボーイッシュな少女を演じた『渇き。』や、金髪のウィッグを被って主人公に迫るドMのキャラクターを怪演したドラマ「監獄学園-プリズンスクール-」で見せたように、多様なキャラクターを自在に演じ分けられる高い演技力にある。作品によっては本来の美少女ぶりを封印し“ブス役”に徹する女優魂は、新たなスター女優の誕生を感じさせる。繊細な演技が要求される本作のヒロインには、これ以上ない適任と言えるだろう。
さて、この異色の設定が話題を呼んだ原作の実写化にあたり、重要なポイントとなる脚本を担うことになったのが『ヒロイン失格』の吉田恵里香。本作のプロデューサー陣は「ストレートではない独特なセリフ回しが得意で、キャラクター造形が巧みなので、異色なラブストーリーにぴったりだと思った」と起用理由を語る。
吉田は原作が連載中であることを踏まえ、原作の男女設定を逆転した女1人男2人の三角関係を思いつき、アナザーストーリーを構成。そこに原作者のムサヲ自らが作成したキャラクター原案とデザインを基に葵、司馬、高千穂といった映画オリジナルキャラクターが出来上がっていった。
その脚本を具現化していったのが『今日、恋をはじめます』『クローバー』『ReLIFE リライフ』などで知られる古澤健監督だ。恋愛・青春映画で確かな手腕を発揮する古澤監督だが、登場人物に単なる恋愛ものに止まらない深みを与える細やかな演出が、観客の支持を集めている。
古澤監督はモニター越しではなく、常にカメラマンの横で直に役者の演技に向き合い、役者からの提案をベースに声のトーンや歩き方、間合いに至る細部まで丁寧に調整していくタイプの演出をする。役柄を生きている演者の心情を確認しつつ撮影を進めていく古澤監督について、森川も「見守ってくれているようで、安心して芝居ができました」と全幅の信頼を寄せる。
結婚相手を政府が決める世界という異色の設定ではあるものの、古澤監督、吉田が常に意識したと口を揃えるのが、人を愛する、恋をするという事はどういう事なのか、といった恋愛の本質を描くこと。原作の設定を活かした脚本を、古澤監督が森川をはじめとする役者とキャラクターのポテンシャルを最大限に引き出し、これまでにない青春ラブストーリーが完成した。『恋と嘘』は、10月14日(土)から公開。【Movie Walker】