チョコプラ長田が熱弁!「攻殻機動隊」草薙素子と「ロード・オブ・ザ・リング」最新作のヒロインの共通点とは?
「観終わったあと、実写版のシリーズを改めて通して観返したくなるんじゃないかな」
改めて本作について、「『ロード・オブ・ザ・リング』のファンの人も、ファンじゃない人も、両方の角度から楽しめる作品になっている」と、声を大にする長田。「前日譚だけあって、例えこれまでシリーズにまったく触れてこなかったという人がこの『ローハンの戦い』から観たとしても、すごく引き込まれる作品になっていると思うんです。ヘルム王は素手で相手を倒せるくらいバチクソ強いし、角笛を吹くシーンなんかも、実写版を観てきた人たちなら、『あの角笛か!』ってなりますよね。これはネタバレになるのであまり詳しくは言えないんですけど、“白の魔法使い”サルマン”も登場するし、『どこで指輪が出てくるのか!?』みたいなワクワク感もありますよね。『ローハンの地では、200年前こんな戦いが繰り広げられてたんだ』って想像しながら観ると、観終わったあと、実写版のシリーズを改めて通して観返したくなるんじゃないかな。特にローハンがフィーチャーされる2作目、『二つの塔』を観たら、また全然違う感情になると思うので」。
本作は、通常スクリーンでの上映のほか、Dolby Cinema、4DX、IMAXと、多彩なフォーマットでの上映も決定している。映画館での鑑賞を強く勧める理由について、長田はこう語る。「映画は映画館で観るように仕上げられているものなので、ちゃんと映画館で体感しない限り、その作品が持っているポテンシャルのすべてを吸収できないと思うんですよね。それは僕らのネタでも言えることで。YouTubeで観てくださるのももちろんありがたいんですけど、舞台だからこそ映えるネタというのもなかにはあって。そういうネタの場合は、やっぱり舞台に見に来てもらわないと100%は伝わらない。映像であれ、舞台であれ、本来作り手側が意図したフォーマットで受け取ったうえで初めて、それはおもしろいのか、おもしろくないのか判断できるものだと思うから。スマホで観ただけで『つまらない』と言われても…と思うことは、正直ありますよね。
映画館って、スクリーンの大きさだけじゃなくて、音響設備の違いもすごく影響が大きいと思うんです。『ローハンの戦い』に出てくる極寒の地での戦闘シーンなんて、通常版で観ただけでもものすごい寒さが伝わってきたのに、4DXで観たら、どんなことになっちゃうんだろうって。相当厚着していかないとダメですね(笑)。Dolby Cinema やIMAXで観ても猛吹雪のシーンはめちゃくちゃ迫力がありそう。どうやってアニメーションで作ってるんだろうと思うぐらい繊細な描写だったので。IMAXで映画を観るのが趣味の僕としては、この映画もIMAXで観ないわけにはいかないです」。
「女性の意識が変わっていく際の表現が、神山監督はものすごく上手な方なんだと思うんです」
特に印象に残った場面として、長田は「ヘラが花嫁衣装を纏って戦いに行くところが、僕的にはやっぱり一番グッときましたね」と本作のクライマックスシーンを挙げつつ、神山監督の作品に多く登場する女性キャラクターの特徴や魅力と絡めながら、ヘラの人物像をこう解説する。「僕が好きな『攻殻機動隊』の草薙素子もそうなんですけど、ただ強いだけじゃなくて、実は可愛らしいところや弱いところもちゃんとある、すごく多面的なキャラクターなんです。自分の抱える弱さにグッと耐えて、だんだん強くなっていく描写が、神山監督が描かれる女性キャラの特徴なんじゃないかと僕は思っていて。ヘラも、最初から戦士だったわけではなくて、最初のほうはちょっとおてんばなお姫様みたいな感じで、周りのお兄ちゃんたちに守られながら自由奔放に振舞っているんですが、そのあといろんな苦難に見舞われて、やがてローハンの国を背負って、敵国に立ち向かっていく。そこに至るまでの感情の変遷というか、女性の意識が変わっていく際の表現が、神山監督はものすごく上手な方なんだと思うんです。今回は吹替版で観ましたが、市村正親さんや津田健次郎さんは言わずもがな、ヘラの声優を務めた小芝風花さんの演技も普段の可愛らしい感じとは違って、戦士としての勇ましさにすごくマッチしてましたね」。
「攻殻機動隊」ファンであり、映画体験を愛する長田も太鼓判を押す本作。ぜひ映画館の大スクリーンで、神山監督が新たに作り出した中つ国の世界を体感してほしい。
取材・文/渡邊玲子