大泉洋&長尾謙杜の魅せる“師弟の絆”に「少年漫画好きならハマる」と太鼓判!大友しゅうまが『室町無頼』を描き下ろし漫画と共にレビュー
垣根涼介の同名小説を入江悠監督が映画化した本格アクション時代劇『室町無頼』が、いよいよ1月17日(金)より全国公開となる。混沌の世となった室町時代を舞台に、巨大権力に戦いを挑んだ無頼=アウトローたちの姿を怒涛のアクションと共に描いた本作は、スカッとする爽快感と情熱の湧き上がる1作として完成。SNSなどで映画紹介漫画を発信している漫画家の大友しゅうまも、「僕自身、これまであまり時代劇を観てこなかったので『わかるかな、大丈夫かな』と思っていたんですが、前知識なく楽しめたのはもちろん、ものすごくカッコいい映画でした!」と興奮しきり。とりわけ、アウトローたちを束ねる蓮田兵衛(大泉洋)と、彼のもとで成長していく才蔵(長尾謙杜)の築く師弟関係に魅了されたという。そこで今回は、「熱い展開を見たいという方にオススメしたい映画」と力を込めた大友による本作の感想を、描き下ろしの漫画と共にご紹介する。
「兵衛の生き様がカッコいい!」
本作は“応仁の乱”前夜の京(みやこ)を舞台に、日本史上、初めて武士階級として一揆を起こした実在の人物、蓮田兵衛の知られざる戦いを描く本格アクション時代劇。
大飢饉と疫病が国を襲うなか、時の権力者は享楽の日々を過ごし、民を見殺しにしていた。そんななか、剣の腕と己の才覚だけで混沌の世を泳ぐ自由人である兵衛は、各地を放浪しながら暗黒時代を見つめていた。一方、天涯孤独の少年、才蔵は兵衛に見出され、鍛えられ、厳しい修行を経て超人的な棒術を身につけていく。時が来たことを確信した兵衛は、才蔵をはじめとする個性たっぷりのアウトローたちを束ね、巨大な権力に向けて都市暴動を仕掛ける。行く手を阻むのは、兵衛の悪友にして宿敵である、洛中警護役の骨皮道賢(堤真一)。兵衛らは勝率0に等しい無謀な戦いに挑んでいく。
これまで映画であまり描かれてこなかった、“応仁の乱”の前夜を映しだした本作。入江監督は風や砂塵の舞う光景を作りだし、雨が降らず乾ききった室町を表現。延べ人数5000人に及ぶエキストラを含め、体や顔、歯や着物まで泥や黒ずみを加えながら、当時を生きる人々の様子をリアリティと共に浮かび上がらせている。大友は「当時の京は、2か月で8万を超える死体が積み重なったと言われているそうです。飢えている人の描写も真に迫っていて、500年以上前の日本にあんなにひどい状況があったのかと驚きました」とスクリーンに広がる惨状に衝撃を受けつつ、「『北斗の拳』で描かれた、荒廃した世紀末を思いだした」と話す。
そんな時代に風のように現れるのが、大泉洋演じる蓮田兵衛だ。大友は、「とにかく兵衛の生き様がカッコいい!」と惚れ惚れ。
「冒頭では兵衛が関所破りをしますが、そこで彼はいきなり、役人を斬り付けます。『役人を斬るの!?』とびっくりしましたし、そういったなにをするかわからない、どこか悪いこともしている人だというアウトローな一面も魅力的でした。大泉さんの殺陣もすごい迫力で、兵衛の剣豪としての強さが見えるようでした」と無頼としての魅力に言及し、「その一方で兵衛は、飢えている民衆に食べ物を分け与えたり、自分が得た報酬を人にすべてあげてしまったりする。お土産として村の女性たちに髪飾りをあげるシーンがありましたが、僕はあの場面もとても好きで。『お前にはもったいないかな』と冗談混じりに話しながら、みんなを笑わせたりしますよね。コミュニケーション能力が高いなと思いましたし、あれは男性にも女性にもモテるなと思いました」と兵衛の多面性に釘付けになったそうで、「コミュ力が高いという面でも、大泉さんに兵衛役はぴったりだなと思いました」と役者とキャラクターとのハマり具合について称える。