北米で『ライオン・キング:ムファサ』が首位に返り咲き!アカデミー賞でサプライズを起こしたブラジル映画が好スタート
“キング牧師の日”の祝日と重なる連休となった先週末(1月17日から1月19日)の北米興収ランキングは、新作タイトルが少々伸び悩んだこともあって、公開5週目を迎えた『ライオン・キング:ムファサ』(日本公開中)が2週ぶりに首位を奪還する結果となった。
『ムファサ』の週末3日間の興収は、前週比84.8%と低い下落率にとどまったものの1205万ドル止まり。祝日を含む4日間の興収も1542万ドルと、今世紀に入ってから(コロナ禍の2021年を除く)の“キング牧師の日”の週末・連休に1位を獲得した作品のなかでは『グローリー・ロード』(06)よりも低い数字をマーク。なお、全体の総興収も9428万ドルと、2021年を除けば2022年に次いで2番目に低いものとなっている。
前作『ライオン・キング』(19)は北米で興収5億4000万ドル超、全世界では16億6000万ドル超と、当時のディズニー作品としては最高の成績を収めたが、今回の『ムファサ』は北米累計興収2億ドル、全世界興収6億ドルにようやく到達。2億ドルというハイバジェットの作品ということもあり、前作ほどの勢いがないことを危惧されていたが、おそらくこれで赤字収支は免れたのではないだろうか。
一方、初日から3日間で興収1180万ドル、祝日を含む4日間で興収1400万ドルと、『ムファサ』に僅差まで迫る成績ながら2位スタートとなったのは、キキ・パーマーとSZAが共演したコメディ『One of Them Days』。初日と21日以降の平日のデイリー興収ではトップに立っており、批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば批評家からの好意的評価の割合が94%、観客からのそれも91%となかなかの高評価。この閑散期のダークホースとなりそうだ。
3位にはブラムハウス・プロダクションズとリー・ワネル監督が『透明人間』(20)以来のタッグを組み、古典ホラーをリブートした『Wolf Man』が初登場。こちらは初日から3日間で興収1089万ドル、祝日を含む4日間では1229万ドルと、昨年公開されたブラムハウスのホラー作品と比較すると『イマジナリー』(24)を上回り、『ナイト・スイム』(24)と『スピーク・ノー・イーヴル 異常な家族』(24)にわずかに届かないスタートとなっている。
そして先日発表された第97回アカデミー賞のノミネート作品は、『ブルータリスト』(2月21日日本公開)や『サブスタンス』(5月16日日本公開)、『Nickel Boys』など多くの作品が上映劇場数を増やして前週よりも順位を上げることに成功。もっとも、当該週末はまだノミネート発表前。次週末以降にアカデミー賞効果がより強く反映されることだろう。
作品賞と主演女優賞、国際長編映画賞の3部門にノミネートされた『I'm Still Here』は、ニューヨークとロサンゼルスでの限定公開がスタートし、週末3日間での1館あたりのアベレージ興収は2万8000ドル超。アカデミー賞の最終投票期間中である2月14日(金)から拡大公開されるとのことで、このスケジューリングが同作の後押しになるか注目が集まるところだ。
文/久保田 和馬