北米でドリームワークスの新作アニメが1位発進!『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』が興行的成功でオスカー戦線を急上昇

北米でドリームワークスの新作アニメが1位発進!『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』が興行的成功でオスカー戦線を急上昇

先週末(1月31日から2月2日まで)の北米興収ランキングは、デイブ・ピルキーの人気児童文学シリーズ「スーパーヒーロー・パンツマン」のスピンオフ作品を、ドリームワークス・アニメーションが映画化した『Dog Man』が初登場でNo. 1を獲得。まずは同作の成績からチェックしていこう。

初日から3日間で興収3600万ドルという成績は、1月封切り作としては歴代8位のオープニング。しかもアニメーション映画に限定すると、同じドリームワークスの『カンフー・パンダ3』(16)の4128万ドルに次いで歴代2位。また、ドリームワークスの前作で、スマッシュヒットの末にアカデミー賞候補にまでこぎつけた『野生の島のロズ』(日本公開中)のオープニング興収をも上回ることに成功した。

爆発に巻き込まれた警官と相棒の犬が、お互いの残ったパーツをつなぎ合わせて頭が犬で体が人間のドッグマンになって活躍する本作。メガホンをとったのは「スーパーヒーロー・パンツマン」のアニメシリーズで製作総指揮を務め、興行的に大失敗に終わった『カントリー・ベアーズ』(02)以来23年ぶりに長編映画を手掛けるピーター・ヘイスティングス監督。今回は批評家からも観客からも好意的な評価が目立っており、奇抜な設定とはいえファミリー向け作品として、この閑散期を盛り上げる一本となりそうだ。

【写真を見る】ティモシー・シャラメの初オスカーだけでなく、他部門でも台風の目に!?第97回アカデミー賞がさらに混戦に
【写真を見る】ティモシー・シャラメの初オスカーだけでなく、他部門でも台風の目に!?第97回アカデミー賞がさらに混戦に[c]Everett Collection/AFLO

第97回アカデミー賞の候補作から今回ピックアップしたいのは2作品。まずは公開6週目で、前週に続いて8位にランクインした『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2月28日日本公開)。この週末の時点で北米累計興収6683万ドルに到達し、『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)を抜いて歴代サーチライト作品で第6位のヒット作となり、現在第5位の『サイドウェイ』(04)も射程圏内に収めている。

作品賞や監督賞をはじめ8部門にノミネートされる大健闘を見せた同作。ティモシー・シャラメが主演男優賞で逆転することへの期待が日に日に増しているのだが、それに加え、ここに来て作品賞や監督賞でのライバルとなる『ブルータリスト』(2月14日日本公開)や『エミリア・ペレス』(3月28日日本公開)がいろいろあって失速気味。現地メディアでは大混戦を断つ立役者との呼び声が急速に高まっているが果たして。

長編ドキュメンタリー賞候補の『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』は自主上映が大盛況!
長編ドキュメンタリー賞候補の『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』は自主上映が大盛況![c]Everett Collection/AFLO

そして、パレスチナ人青年とイスラエル人青年の友情を描き、長編ドキュメンタリー賞にノミネートされている『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』(2月21日日本公開)は、北米での配給会社が一向に決まらないまま、製作者による自主上映というかたちでの公開に踏み切ることに。ニューヨークの1館のみで、3日間の興収は2万6100ドル。2月7日からはロサンゼルスなどの10都市でも上映が開始されており、次週はもっと順位を上げてくるはずだ。


文/久保田 和馬

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