堀未央奈とゆりやんレトリィバァが語り合う、ホラーへの深い“愛”。イチオシの1本はコレだ!

インタビュー

堀未央奈とゆりやんレトリィバァが語り合う、ホラーへの深い“愛”。イチオシの1本はコレだ!

令和の時代の新たなホラー映画作家を発掘・育成する目的で2021年にスタートし、これまでに3回を数える「日本ホラー映画大賞」。今年1月からAmazonプライムビデオで『「第1回日本ホラー映画大賞」受賞作品』、『「第2回日本ホラー映画大賞」受賞作品』が見放題配信開始となり、ホラーファンのあいだで話題を呼んでいる。

次世代のホラー作家を発掘・育成する「日本ホラー映画大賞」
次世代のホラー作家を発掘・育成する「日本ホラー映画大賞」

そこでPRESS HORROR編集部では、第1回より選考委員を務める女優の堀未央奈と、第2回から選考委員を務めるゆりやんレトリィバァに直撃取材を敢行。選考会を通して意気投合したという2人に、これまでの「日本ホラー映画大賞」の歩みを振り返ってもらうと共に、イチオシのホラー映画、「日本ホラー映画大賞」の選考を通した自身の気づきまでを語ってもらった。

聞き手を務めるのは、「第2回日本ホラー映画大賞」で大賞を受賞し、受賞短編を長編化した『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』(公開中)で商業映画監督デビューを果たした近藤亮太監督。ホラー愛にあふれた取材の模様をたっぷりとお届けする。

「『日本ホラー映画大賞』は人生が変わる場だと捉えて、選考に臨んでいます」(ゆりやん)

第1回で審査員特別賞を受賞した、平岡亜紀監督の『父さん』
第1回で審査員特別賞を受賞した、平岡亜紀監督の『父さん』[c]KADOKAWA

「日本ホラー映画大賞」は、選考委員長の清水崇監督のもと、FROGMAN、堀未央奈、小出祐介、宇野維正、ゆりやんレトリィバァという、各界のホラーマニアが揃った選考委員たちが、一次選考を通過した応募作品を隅々まで鑑賞。長時間に及ぶ選考会の末に、商業映画監督デビューの権利が与えられる大賞受賞作を決定している。

――第1回、第2回の受賞作が見放題配信となり、ホラーファンの方に気軽に観ていただける環境が整いました。まずは第1回から参加してる堀さんから、おすすめ作品を伺いたいです。

第1回でオカルト部賞を受賞した、ヤマモトケンジ監督の『傘カラカサ』
第1回でオカルト部賞を受賞した、ヤマモトケンジ監督の『傘カラカサ』[c]KADOKAWA

堀「第1回では、平岡亜紀監督の『父さん』をめっちゃ推していました!それで清水監督と意気投合したんです。短いのにぎゅっと怖さが詰まっていて、人間の本能的な怖いと思う部分を突いている作品だと思います。ヤマモトケンジ監督の『傘カラカサ』も、どの世代の方が観てもちゃんと怖いと感じられる作品だと思います」

――ゆりやんさんは第2回から参加されましたが、イチオシの作品はどれでしょうか。

第2回でニューホープ賞を受賞した、三重野広帆監督の『NEW GENERATION/新世代』
第2回でニューホープ賞を受賞した、三重野広帆監督の『NEW GENERATION/新世代』[c]KADOKAWA

ゆりやん「私は三重野広帆監督の『NEW GENERATION/新世代』が好きでした。どの作品もそうなんですけど、2~30分くらいのなかに怖い描写やおもしろい描写をあんなに詰め込んで、それで崩壊せずにやっているのがすごすぎました。堀さんはいかがでしたか?」

堀「私は川上颯太監督の『いい人生』がよかったです。発想力に若さを感じられてとてもいいなと思いました。あと、小泉雄也監督の『笑顔の町』も好きです!」

第2回で審査員特別賞を受賞した、19歳(受賞時)の川上颯太監督『いい人生』
第2回で審査員特別賞を受賞した、19歳(受賞時)の川上颯太監督『いい人生』[c]KADOKAWA

――選考委員を務められているなかで、心境の変化はありましたか?

堀「自分の好み自体はあまり変わってないと思います。選考の際は応募された作品を観賞したあと自分のなかで整理して、意見を決めてから選考会に臨んでいるのですが、選考委員の方々と話していくうちに違った見方を発見して、意見が変わっていったり…ということもあり、毎回刺激を受けています」

第2回でMOVIE WALKER PRESS賞を受賞した、小泉雄也監督の『笑顔の町』
第2回でMOVIE WALKER PRESS賞を受賞した、小泉雄也監督の『笑顔の町』[c]KADOKAWA

ゆりやん「私は普段、お笑いの賞レースでは審査をしていただく立場だったりするので、『日本ホラー映画大賞』も人生が変わる場だと捉えています。大賞を受賞した方に商業映画監督デビューを確約するという本賞の選考には、非常に大きな責任があると思います。だから第2回の選考の際は、『ほかの作品と並べるとどうかな?』と何度も観返して、悩みながら挑んだんです。でも今回はお客さん目線に立とうと思って。一回目に観た気持ちでどう感じたか、おもしろかったか、怖かったかを大事にして、選考会に臨みました」

「第3回はどれが大賞を獲ってもおかしくないレベル。選考会は3時間以上かかりました」(堀)

第1回より選考委員を務める堀未央奈
第1回より選考委員を務める堀未央奈撮影/河内彩

「第3回日本ホラー映画大賞」の授賞式は、2024年11月16日にグランドシネマサンシャイン 池袋にて開催された。『夏の午後、おるすばんをしているの』で大賞に輝いた片桐絵梨子監督は、現在KADOKAWAで商業映画監督デビュー作の制作準備を進めている。

――「第3回日本ホラー映画大賞」の選考を終えて、率直な印象を教えてください。

堀「一次選考を通過したすべての作品がきちんと怖くて、クオリティが高かったことにおどろきました。今回はオチがわかりやすい作品と、観客に委ねるような作品、2種類にはっきりと分かれていたように思います。選考委員の皆さんも、それぞれの考え方があるので毎回票が割れるんですが、今回も選考会は3時間以上かかりましたね」

第3回大賞を受賞した片桐絵梨子監督は、「大賞受賞を励みに新しい映画を作っていきたい」と語った
第3回大賞を受賞した片桐絵梨子監督は、「大賞受賞を励みに新しい映画を作っていきたい」と語った撮影/タナカシノブ

ゆりやん「第2回の時は1人で全部やりました、というこれぞ自主映画!といったような作品もあって、それも好きだったんですが、今回は録音部、照明部、助監督もベテランさんだったりする作品もあって、普通に映画館で上映されている作品を観るようでした。なにより、皆さんそれぞれの視点での“怖さ”を持ってらっしゃるのがおもしろいですね」

堀「今回は特に、どれが大賞を獲ってもおかしくないレベルでしたね。ただ、私は“人怖”が好きなので、そういう作品も観てみたかった、という気持ちはありますね。人間のドス黒い部分に焦点を当てた作品はあまりなかったので。私の好きなスプラッターというジャンルは、身近に起こりそうもないことが起きるところがいいんですが、逆に人怖だと身近なテーマを描けて、社会問題などもホラーのなかに取り入れられると思うので、そういう作品も観てみたいです」

――お2人それぞれに“推し”の作品はありましたか?

第3回でシネマンション賞を受賞した、小泉雄也監督の『異星人回鍋肉』
第3回でシネマンション賞を受賞した、小泉雄也監督の『異星人回鍋肉』[c]KADOKAWA

堀「私とゆりやんさんはスプラッター好き同士なので(笑)、小泉雄也監督の“SFカニバリズムホラー”『異星人回鍋肉』(エイリアンホイコーロー)が共通して好きでした」

ゆりやん「『異星人回鍋肉』は怖いし目が離せない。お化けや幽霊が出ることがホラーというわけではなく、俳優さんの言動がホラーになるような描き方がよかったですね」

――ほかに気になった作品はありますか?

第3回でPRESS HORROR賞を受賞した、及川怜音監督の『闇の経絡』
第3回でPRESS HORROR賞を受賞した、及川怜音監督の『闇の経絡』[c]KADOKAWA


ゆりやん「カーチェイスに迫力があった、及川怜音監督の『闇の経絡』も怖かったです。“車ホラー”って日本ではあまりないので、その点でも新鮮でした。誰も乗っていない車が追いかけてくる…というシチュエーションにゾッとしました」

堀「私も『闇の経絡』を推していました。映像のクオリティがとにかく高くて、そのまま映画館でかけられるほど映像美が秀逸でした。ストーリーもわかりやすくて、ここはこう見せるぞ、という描写の緩急もあって。『異星人回鍋肉』も『闇の経絡』も、エンタテインメントとしてのキャッチーさがあるのがすばらしいですよね。監督さんたちはお若いんですよね?」

――2人(小泉監督・及川監督)ともに20代ですね。

堀「有望すぎますね!これからも撮ってほしいな。すっかり2人のファンになっちゃいました」

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