人食いの因習や異常なおもてなし…「ガンニバル」『犬神家の一族』まで“サイコな一族たち”をご紹介

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人食いの因習や異常なおもてなし…「ガンニバル」『犬神家の一族』まで“サイコな一族たち”をご紹介

累計発行部数400万部を超える二宮正明の同名サスペンスコミックを、日本を代表するキャスト・スタッフで実写化した「ガンニバル」。2022年末にディズニープラス「スター」でシーズン1の配信がスタートするや、閉鎖的でありながら神秘性も感じるロケーション、濃密なスリラー描写など、日本ドラマの枠を超えたクオリティが大きな話題を集めた。そしていよいよ、その最終章となるシーズン2が3月19日(金)より配信開始となる。

そこで本稿では、本作に登場する供花村の“後藤家”のような、奇怪なサイコパス一族の恐ろしさを味わうことができる“怪一族作品”を紹介しながら、「ガンニバル」シーズン2の注目ポイントをチェックしていこう。

相続をめぐって連続殺人事件が発生…『犬神家の一族』

1970年代後半から1990年代にかけて一世を風靡した“角川映画”の第1弾作品にして、“怪一族作品”の代名詞といえる『犬神家の一族』(76)。横溝正史の推理小説「金田一耕助」シリーズの一編を、市川崑監督と石坂浩二主演で映画化。公開から30年が経った2006年には、ふたたび市川監督と石坂のタッグでリメイクも製作。両作を観比べてみるのもおすすめだ。

製薬会社で財を成した犬神佐兵衛(三國連太郎)が死去。その遺言書には、佐兵衛の恩人の孫娘の珠世(島田陽子)に全財産を相続すると記されていた。“犬神家”の顧問弁護士の助手から助力を求められた名探偵の金田一耕助(石坂)が那須に到着すると、奇怪な連続殺人が起きていく。白いゴムマスクをつけた犬神佐清の容姿や、水面から伸びた逆さ足など、一度観たら忘れられない強烈なインパクトを放つシーンが盛りだくさん。

根深い人種差別問題を、鋭く風刺!『ゲット・アウト』

名プロデューサーのジェイソン・ブラム率いるブラムハウス・プロダクションズが、コメディ俳優だったジョーダン・ピールを監督に迎えた『ゲット・アウト』(17)は、白人の恋人の実家に招待されたアフリカ系アメリカ人青年が体験する不可思議な恐怖を描いたダークスリラー。製作費わずか450万ドルという低予算ながら、北米で大ヒットを記録。第90回アカデミー賞ではホラージャンルとしては異例となる作品賞など4部門にノミネートされ、脚本賞を受賞した。

ニューヨークで暮らす写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)は、ある週末に恋人のローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家“アーミテージ家”へ招待される。若干の不安とは裏腹に過剰な歓迎を受けるものの、妙な違和感を覚えるクリス。翌日開かれたパーティーで、ある黒人の若者を発見し撮影すると、フラッシュが焚かれた瞬間に彼は鼻血を流して豹変。なにかがおかしいと感じたクリスは、“アーミテージ家”から出ようとするのだが…。アメリカ社会に根深く残る人種差別を、ユーモアたっぷりに風刺する語り口は必見!

英国人一家の危険な“おもてなし”…『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』

世界中の映画祭で話題を呼び「最も不穏な映画」と称されたデンマーク映画『胸騒ぎ』(22)を、ブラムハウス・プロダクションズがリメイクした『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』(24)。主演を務めたのは『スプリット』(17)などで知られるジェームズ・マカヴォイ。その怪演ぶりが大きな話題を集めた。

アメリカ人一家のダルトン家は、バカンス先でイギリス人のパトリック(マカヴォイ)たち一家と出会い意気投合。彼らの自宅に招待され、週末を一緒に過ごすことになる。人里離れた場所で休日を満喫していたのだが、次第にパトリックたち一家の“おもてなし”に違和感を抱き始める。やがて彼らは、その裏に隠された想像を絶する恐怖を知ることに…。じわじわと観るものの神経を削っていく不条理な展開。待ち受ける後味の悪さが妙にクセになる!

一族を守るためなら手段を選ばない、不屈の結束力…「ガンニバル」

物語の舞台は、都会から遠く離れた山間にある供花村。ある事件を起こしたことがきっかけで、供花村の駐在として左遷されてきた警察官の阿川大悟(柳楽優弥)は家族と新たな人生を踏みだそうとしていた。ところが着任早々、全身を獣に食いちぎられた後藤家の当主・銀(倍賞美津子)の死体が発見され、徐々に村の不審な一面が次々と見えはじめる。

白装束に身を包む後藤家。現代らしからぬ因習を守り続けている(「ガンニバル」シーズン1)
白装束に身を包む後藤家。現代らしからぬ因習を守り続けている(「ガンニバル」シーズン1)[c] 2025 Disney

そんななか大悟が耳にする「この村では人が喰われている」という恐ろしい噂。その真相を探るため、村を支配する荒くれ者ぞろいの一族“後藤家”へと近付いていく。シーズン1は、そんな大悟が村の真実にたどり着く寸前のところで幕を下ろした。


【写真を見る】全員個性がすぎる!狂気的なまでの結束力を誇る、「ガンニバル」後藤家の面々(「ガンニバル」シーズン2)
【写真を見る】全員個性がすぎる!狂気的なまでの結束力を誇る、「ガンニバル」後藤家の面々(「ガンニバル」シーズン2)[c] 2025 Disney

いよいよ配信開始となるシーズン2では、供花村に隠されたすべての真実が明らかになる。村の秘密を守ろうとする“後藤家”がついに一線を越え、警官隊と衝突。大悟もまた、壮絶な狂乱の闘いへと身を投じていくことになる。すべてのカギをにぎる後藤家の過去、そして脈々と受け継がれてきた後藤家の呪いとは…。

シーズン1以上にすごみを増した“後藤家”の圧に打ちのめされながら、衝撃的な“完結編”を目撃しよう!

文/久保田 和馬

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