福山雅治が韓国で、あの人にラブコール!『三度目の殺人』で釜山国際映画祭に参加
9月9日の公開以降、興行収入13億円を突破し、ロングヒットを記録している福山雅治主演、是枝裕和監督の最新作『三度目の殺人』(公開中)。本作が、韓国にて開催されている第22回釜山国際映画祭のガラプレゼンテーション部門に正式出品され、現地時間19日に公式上映された。コンペティション部門に出品されていたヴェネチア国際映画祭に続いて現地を訪れた是枝監督と福山が、記者会見、舞台挨拶、Q&Aに参加した。
『三度目の殺人』は、殺人罪で起訴された男を弁護することになった弁護士の姿を通して、死刑制度の在り方を問題提起する法廷心理ドラマ。役所が演じる30年前にも殺人事件を犯し、刑に服した前科を持つ男の二転三転する供述に翻弄されながらも、ほぼ死刑が確実視された裁判で減刑を勝ち取るために、福山演じる主人公が奔走する。
上映を前に行われた記者会見の席では『そして父になる』以来4年ぶりとなる同映画祭への参加に対し、是枝監督は「福山さんと大好きな釜山の映画祭にやってくることができて本当に嬉しく思っております」と感慨を述べた。
質疑では、次回出演作としてジョン・ウー監督の『追捕 MANHUNT(原題)』(日本2018年公開)が決定している福山に、両者の演出の特徴を尋ねる質問があった。
福山は二人の共通点を「映画に対しての愛情。映画と共に生き、映画と共に人生を全うするんだろうなと感じさせる、愛情と覚悟」と分析。「両作品とも、台本が撮影の最後まで変化し続けるという共通点があり、コンサートでいう生演奏のようなものを現場でずっと見させていただいていて、演者である僕自身もすごく興奮できる現場でした」と充実感を語る。
是枝監督も、福山のコメントに応えるように「ジョン・ウー監督の『追捕 MANHUNT(原題)』の大阪の撮影現場にお邪魔したとき、待ち時間に“あなたの映画に出てくる男達はなんで色っぽいんですか。今度男たちの映画を撮るのでアドバイスをいただけないか?”という話をしたら、男を色っぽく撮るには、男を隣に置くんだって言われたんです。役所さんと福山さんを撮りながら何度か自分の頭に浮かんだ言葉でした」と、ジョン・ウー監督との意外な秘話を披露。
さらに『三度目の殺人』の主人公・重盛も、福山が演じることを想定して書いたと告白。「プロット段階でのキャッチボールもありましたし、脚本を読んでもらってのやりとりもありました。最初に書いたのはA4の紙3、4枚の簡単なプロットだったと思いますが、その段階から既に福山さんを念頭においていました」。
その後も、二人は延べ15問に及ぶ質疑ひとつひとつに誠実かつ的確に応えていた。最後に、今後仕事をしたい韓国の監督はいるかと尋ねられた福山は「前回の釜山で、是枝監督にイ・チャンドン監督をご紹介頂きましたが、その時は作品を見たことがなかったんです。その後、是枝監督に『オアシス』と『ペパーミント・キャンディー』をお勧め頂き、大変感動しました。もし機会があれば、撮って頂きたいなと思います。一緒に蟹を食べさせて頂いたということで、勝手に親近感を感じております(笑)」と、韓国映画界を代表する巨匠にラブコールを送った。
現地時間19日夜に行われた公式上映では、二人が登壇すると、840席のキャパシティが埋まった満席の会場から割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こり、会場に飛び交った“ましゃ”コールには、流石の福山も恐縮しきりといった感じだった。
日本映画の代表として出品され、各国の映画祭で熱狂的に受け入れられた『三度目の殺人』。確かな手応えを得た二人の次回作にも期待が高まる。【Movie Walker】