心臓に悪いけど斬新!平凡な男が牢獄の妻を救うサスペンスって?
平凡で幸せな日々を送っていた国語教師ジュリアン一家だったが、ある日、美しい妻が無実の罪で投獄されてしまった。そこでジュリアンがとった、とんでもない行動とは!? フランスの新鋭監督フレッド・カヴァイエのデビュー作『すべて彼女のために』(2月27日公開)は、『クラッシュ』(04)、『ミリオンダラー・ベイビー』(04)でアカデミー賞に輝いたポール・ハギス監督がリメイク権を取得したことで話題の斬新なサスペンスだ。
妻を救おうと必死になる夫ジュリアンは、元刑事でもなければ、スーパーヒーローでもなく、ましてや暗黒社会に生きるその筋の人間でもない“ただの”国語教師。どこにでもいる“普通のおじさん”が、愛する妻のために決死の覚悟ですごい勝負に出るというところが本作の肝だ!
しかも、その手段にはかなりリアリティーが感じられる。ジュリアンが自力で妻を助けようとするが、ご都合主義に事が進んでいかず、観ている方がハラハラドキドキと心臓に悪い。時には「ああ〜、もうやめて〜!」と止めたくなる。その救出方法は今までになく大胆で説得力があるから、観ている方は前のめりになって引き込まれていく。
夫ジュリアン役に『女はみんな生きている』(01)のヴァンサン・ランドン、妻リザ役に『イングロリアス・バスターズ』(09)の ダイアン・クルーガー。まあ、クルーガーくらい美しい妻のためなら、たとえ火の中水の中って感じだが、救出するのは命懸けで、人間、愛のためならここまでできるものかと、究極の夫婦愛には感動さえ覚える。
きっとポール・ハギスもその辺の大胆な設定に心を捉まれたに違いない。もちろん、どうやって救出するかは観てのお楽しみってことで。ちなみに、ポール・ハギスによるハリウッドリメイク版『The Next Three Days』の主演はラッセル・クロウで、妻役に『ブッシュ』(08)のエリザベス・バンクスが扮する。こちらは2011年全米公開予定だ。
極限に追い込まれた夫婦の強い絆のドラマに、予断を許さぬ展開で繰り広げられるリアリティーに満ちた救出劇。さすがはポール・ハギスが惚れこんだだけのことはあるオリジナル版『すべて彼女のために』をぜひお見逃しなく!【Movie Walker/山崎伸子】