堺雅人と高畑充希、すっかり鎌倉の虜に!鶴岡八幡宮800年の歴史で初の野外上映が開催
シリーズ3作で興行収入112億円超を記録した大ヒットシリーズ「ALWAYS 三丁目の夕日」の原作者・西岸良平のベストセラーコミックを、同シリーズを手がけた山崎貴監督が映画化した『DESTINY 鎌倉ものがたり』(12月9日公開)の鎌倉プレミアが、作品の舞台となった鎌倉市の鶴岡八幡宮で開催され、主演を務めた堺雅人と高畑充希、山崎監督が登壇した。
会場となった鶴岡八幡宮は、1063年に源頼義が奥州を平定して鎌倉に帰り、源氏の氏神として出陣に際してご加護を祈願した京都の石清水八幡宮を、由比ヶ浜辺にお祀りしたのが始まりと言われている。現在の鎌倉市雪ノ下に遷宮されてから約800年、鎌倉のまちづくりの中心となってきた。その境内に特設された会場には大勢の鎌倉市民が集まり、初めての野外上映が行われたのである。
本作は、鎌倉に暮らすミステリー作家・一色正和と、彼のもとに嫁いだ年若い妻・亜紀子の、少し不思議な新婚生活を描いたファンタジー。魔物や幽霊といった“人ならざるもの”たちと過ごす騒がしい日々の中で、突然黄泉の国へ旅立った亜紀子。彼女の命を取り戻すため、正和はひとりで黄泉の国へ向かうのである。
気温10度を下回る晩秋の空気の中で行われたプレミア上映は、奉納の意を込めてスクリーンが本宮の方を向けられていた。精巧祈願のご祈祷を行ってから舞台挨拶を行った登壇者たちは、観客で埋め尽くされた石段を降りて登場すると、舞殿の横に設けられたステージに上がり、本宮に向かって深々とお辞儀をした。
主人公の正和を演じた堺は、寒空の下で上映を楽しみに待つ観客たちを気遣い「防寒対策は万全ですか?」と問いかけると「鶴岡八幡宮でプレミア上映が行われるなんてすごいと思います。でも、こんなに寒くなるなんて思いませんでした」と笑顔で述べ、会場を暖かな空気で包み込んだ。
「やっと始まりだという感じがします。この場所でプレミアができるなんて、私も最初は何事かと思いました」とコメントした高畑は、劇中では見せない和装で登場。そんな高畑の姿に「めであいなあ〜。春が来た感じだな〜」と褒め称える堺に、高畑は「さっきまで『はやく千歳飴持てよ』とか言ってたじゃないですか」とツッコミを入れ、会場中の笑いを誘った。
作品のキャンペーンで鎌倉を回った2人は、プライベートではこれまで何度も鎌倉の街を訪れていると言いながらも、長谷寺など有名なスポットを回ったことがなかったことを明かした。「まったく知らなかったことがいっぱいで、まだまだ知らない鎌倉があると感じた」と語る堺は、鎌倉の街を「何でも揃っていて、江ノ電も可愛らしく、まるで精巧に作られたミニチュアのような街」と形容した。
そして劇中で登場する“タンコロ”(江ノ電100形108号車。極楽寺駅の保管庫に納められている)の魅力や、江ノ電の魅力を語る2人は、すっかり鎌倉の街に魅了された様子。そんな中、高畑はお気に入りのスポットを訊ねられると、鎌倉に7つ存在する“切り通し”を挙げた。
『ツィゴイネルワイゼン』(80)や『青の炎』(03)など、多くの映画で登場してきた鎌倉の切り通しの中でも、極楽寺坂の切り通しがとくに気に入ったと語る高畑は「今回のキャンペーンで、切り通しと仲良くなることができました」と笑顔でコメントした。
一方で「鎌倉の方に、鎌倉には意外と魔物がいると再認識してもらいたい」と微笑む山崎監督。彼が自ら担当したVFXは、これまでも「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズや『永遠の0』(13)など、そのクオリティの高さは日本屈指。
そんな山崎の作り出した独特な映像世界に、堺は「鎌倉に見えてそうではない、不思議な鎌倉の街が作り出されている。実際の街を知っていると、ありえないと思うような、ちょっと違う鎌倉の光景を観ることができます」と絶賛。有名な観光地の新たな姿、新たな魅力を楽しむことができる作品に仕上がっているようだ。
取材・文/久保田和馬