正真正銘のオスカー大本命!メリル・ストリープとトム・ハンクス、スピルバーグの最新作で初競演
メリル・ストリープとトム・ハンクス、そしてスティーブン・スピルバーグ監督。彼ら3人でアカデミー賞にノミネートされること31回。受賞したオスカー像の数は7つ。もはや後にも先にも、これ以上の組み合わせを見ることができないのではないかと思えるほどに、豪華な競演が実現した話題作『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の日本公開が2018年3月に決定。2分を超える荘厳な予告編が解禁された。
タイトルにもなっている“ペンタゴン・ペーパーズ”とは、アメリカ国防総省がベトナム戦争に関する経過や、客観的な分析を記録し、40年間にわたりトップシークレットとなっていた最高機密文書のこと。ベトナム戦争が泥沼化していた1971年当時、ニューヨーク・タイムズがその存在をスクープしたことで知られている。
本作は、アメリカ発の女性新聞発行人として足固めをしようとしていたキャサリン・グラハムと、その部下である編集主幹のベン・ブラッドリーをはじめとしたワシントン・ポスト紙の面々が、報道の自由を統制し、記事を差し止めようとする政府と戦うため、ライバル紙であるニューヨーク・タイムズと手を組み、真実を世に出そうとする姿を描いた社会派ドラマなのだ。
この度解禁された予告編では、グラハムとブラッドリーの2人が“例の文書”について密談しているシーンから始まり、ベトナム戦争の真実が記されたその文書の手がかりを追うために団結し、奔走するジャーナリストたちの姿が描かれていく。
ニューヨーク・タイムズのスクープ記事が差し止められ、政府からの圧力に屈したことが明白な中、グラハムが「臆病者」と揶揄されながらも信念を貫き、報道の自由を守り抜くために、決断を迫られる緊迫した場面や、グラハムを支えるブラッドリーが「この記事を諦めれば、自由の炎が消えるぞ!」と力強く訴える場面など、予告編の時点で圧倒的な演技バトルが繰り広げられる。
政府がひた隠しにしていた事実を明らかにすべく、立ち上がった実在の人物たちの姿を追う本作は、立場を超えた熱い信念や絆、それぞれの思惑や葛藤が描かれ、何層にも重なるほどに厚く、緊張とスピード感あふれるドラマが展開していくのである。
メガホンをとったスティーブン・スピルバーグは、本作を「いま撮るべき作品」だと語り、トランプ大統領就任の45日後に本作の製作を発表。その時点で予定されていた作品をすべて後回しにし、本作の撮影を敢行したことでも大きな話題を集めた。
政府によってジャーナリズムに規制がかけられ、国の主役であるはずの国民に真実が伝えられず、何が真実で、何が正しいのかがわからなくなってきている現代。「今」だからこそ伝えるべき作品と、強烈なメッセージを込め、この危機的状況に警鐘を鳴らす作品と言ってもいいだろう。
ウォーターゲート事件を追ったワシントン・ポスト紙の記者たちの奮闘を描いたアラン・J・パクラ監督の『大統領の陰謀』(76)、そして教会による性的虐待を暴くボストン・グローブ紙の記者たちを描いた第88回アカデミー賞受賞作『スポットライト 世紀のスクープ』(16)に匹敵する、ジャーナリズムの真髄を描き出した本作。
はやくも第90回アカデミー賞の最有力作品の一本として注目を集め、作品賞や監督賞、トム・ハンクスの主演男優賞はもちろんのこと、メリル・ストリープが前人未到の20回目のノミネートを獲得する可能性、それどころか3度目の主演女優賞受賞の可能性も十分だと言われている。
文/久保田和馬