星空の下で寝袋にくるまって映画鑑賞!いま話題の「ねぶくろシネマ」って!?

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星空の下で寝袋にくるまって映画鑑賞!いま話題の「ねぶくろシネマ」って!?

星空の下、寝袋や毛布にくるまり、飲んだり食べたりしながら映画を鑑賞できる、野外シネマ「ねぶくろシネマ」が11月25日(土)に東銀座イベントスペースにて開催された。記念すべき20回目となった今回は、数々の映画賞を受賞した長編アニメーション『この世界の片隅に』(16)の上映が行われ、500人もの参加者が集まった。

都心では初の開催となった「ねぶくろシネマ@銀座」。昨年大ヒットした「この世界の片隅に」が上映された
都心では初の開催となった「ねぶくろシネマ@銀座」。昨年大ヒットした「この世界の片隅に」が上映された
【写真を見る】参加者たちは寝袋や毛布にくるまったり、椅子やシートに座ったりと、思い思いに映画を鑑賞する
【写真を見る】参加者たちは寝袋や毛布にくるまったり、椅子やシートに座ったりと、思い思いに映画を鑑賞する

多摩川の河川敷がスタート

2015年12月に第1回が開催された「ねぶくろシネマ」。主催者である合同会社パッチワークスの唐品知浩氏は発足の経緯をこう語る。「私たちが住んでいる調布市は“映画の街”と言われているのですが、最近まで映画館がありませんでした(今年9月29日に、イオンシネマ シアタス調布がオープン)。そこで、有志が集まり、市の方との話し合いで野外シネマの企画が持ち上がったんです」。加えて、「ベッドタウンである調布市はファミリー層が多いので、小さな子どもが騒いだり泣いたりしても、気軽に映画が観られる空間にしようと考えました」とも説明。父親たちの「家族で映画が鑑賞できる環境を作りたい」という想いがきっかけだったことを明かしてくれた。

参加者の前に出てオープニングスピーチを行う主催者の唐品知浩氏
参加者の前に出てオープニングスピーチを行う主催者の唐品知浩氏

『この世界の片隅に』のほか、これまでにも『E.T.』(82)や『スタンド・バイ・ミー』(86)、『ジュラシック・ワールド』(15)などの作品が上映されてきた。では、その作品選びのポイントはなんだろう?「基本的には上映する場所に合うかどうかですね。第1回は多摩川の橋脚で『しあわせのパン』(11)を上映しました。季節的にもかなり寒いですが、劇中に登場するようなパンや温かいスープを食べながら鑑賞することで、3Dや4Dじゃないですけど、映画と一体になった感覚を味わってもらえたと思います」。このほかにも野球場で上映を行った『フィールド・オブ・ドリームス』(89)なども印象的だったようだ。

ここでしか得られない新鮮な体験

普段とは違ったシチュエーションで映画を観ることで、新鮮な気持ちになれるのも「ねぶくろシネマ」の魅力。「『E.T.』を観た子どもたちは最初、E.T.の不気味なフォルムを怖がっていたのですが、クライマックスで瀕死状態になるE.T.を見て、『死なないでー!』って声を出して応援するんです。そういう光景を見ると、私たちも心にグッと来ますね」という言葉からも、子どもたちが映画に感動する姿を通して、大人たちにとっても得がたい体験になっていることがうかがえる。

また、野外だけに雨は最大のネックなのだが、「川崎競馬場の巨大スクリーンで『ジュラシック・ワールド』を流した時は、多摩川の花火大会が中止になるくらいの雷雨でした。ただ、参加者はスタンドの屋根で雨をしのげましたし、スクリーン裏で稲光が光ったりしていて、あの雰囲気は作品にすごく合っていましたね」とも話しており、悪天候が思わぬ臨場感をもたらすこともあるようだ。

映画館がない街に、スクリーンで映画を観る機会を

この先については、「昨年は一度、宮城県の南三陸で開催させていただきました。今後も被災地で上映を行いたいと思っているので、しっかりクラウドファンディングして、いくつかの地域を回れるようにしたいですね」とする一方で、「もっと地方を強めていきたいです。島根では、Iターンした移住者の方と準備から開催まで一緒に進めていきました。このような、地方でがんばっている人に輝ける場所を提供できればとも思っています」とし、そのさらなる展望についても語ってくれた。

映画の街・調布市で映画を上映することから始まった「ねぶくろシネマ」。しかし、その想いは多くの人の共感を呼び、様々な場所での開催が実現している。次に映画が上映されるのはあなたの街かもしれない。

取材・文/トライワークス

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