2017年の米映画チケット販売数は過去25年で最低に!
2017年は『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の大ヒットもあり、映画界が大盛り上がりだったように感じられるが、米国の興行成績を集積しているサイトBox Office Mojoによると、2017年に北米で販売された映画のチケットの枚数は過去25年で最低だったという。
2017年に販売された映画のチケットは合計でおよそ12億3920万枚だそうで、2016年に比べるとわずか5.8%の低下だが、10年前はチケット販売数が14億枚を超えるのが当たり前だったことを振り返ると、確実に低下している事がわかる。
興味深いことに、興行成績だけに注目すると2016年は過去最高の113億ドルを記録し、2017年も110億ドルを超えている。これは映画チケット全体の値上げや、IMAXや3Dなどの高価なチケットの販売が影響しているようだ。
しかし、その状況はますます、映画館に足を運んで高いお金を払って映画を観るよりも、様々なプラットフォームで視聴可能なストリーミング・サービスで好きな時に映画やドラマをみたいという観客の購買選択の心理を加速させてしまっているのかもしれない。
それだけでなく、映画のチケット販売数低下の原因は映画の内容も関係していると専門家は言う。エンタテインメント界のデータ統計会社Exhibitor Relationsのアナリスト、ジェフ・ブロックはBusiness Insider とのインタビューで「映画スタジオは過去のヒット作のリメイクやリブート作の製作に偏り、なかなかヒットさせられないどころか、流れに遅れてしまっている。観客達はより画期的なコンテンツを求めてストリーミング・サービスに集まる。この傾向は2018年も変わる事はないだろう」と予想している。
独自のストリーミング・サービスを2019年に開始すると発表し、21世紀フォックスの買収で大量のコンテンツを入手することが決まったディズニーを筆頭に、映画スタジオは作品の配給アプローチを変えて行かざるを得ないだろう。
LA在住/小池かおる