チェン・カイコー監督『空海』お披露目に感激!夢枕獏は「観るたび泣いている」
『さらば、わが愛 覇王別姫』や『始皇帝暗殺』などで知られる世界的巨匠チェン・カイコー監督が、夢枕獏による原作を日中合作で映画化した『空海 ―KU-KAI― 美しき王妃の謎』(2月24日公開)を引っさげて来日。1月15日にTOHOシネマズ六本木ヒルズでジャパンプレミアが開催され、「ようやく日本のみなさんにお見せできる」と感慨を語った。
本作は、若き僧侶・空海と中国が生んだ稀代の詩人・白楽天が、王朝を震撼させる怪事件の謎を追う姿を描くエンタテイメント大作。この日は染谷将太、チャン・ロンロン、火野正平、松坂慶子、阿部寛、夢枕獏、チェン・ホン(中国側プロデューサー)、高秀蘭(日本側プロデューサー)も登壇した。
カイコー監督は「10年前に初めて夢枕獏先生の本を読みました」と口火を切り、「そこからスタートして10年かけていろいろな準備に取り組んできた。6年かけて唐の都を再建し、2万本の木も植えた。5か月の撮影、1年間のポストプロダクションを経てようやくみなさんにお見せできる」と長い年月を振り返り、感慨深い表情を浮かべた。
「すばらしい映画は満開の花のようなもの」と例えたカイコー監督。「風は花粉を空中に飛ばし、いずれ種となり、心のある人のところに必ずやってきてさらに満開の花を咲かす。今夜この映画は風となり、種となり、みなさんの心に届くことを期待します」と語ると、カイコー監督のつむぐ美しい言葉に会場からも大きな拍手が上がっていた。
またカイコー監督が原作者の夢枕に「改めて感謝します」と熱く述べる一幕も。夢枕は「この原作の取材のために中国に行ったのが35年前。まさかこういうことになるとは。試写を2、3回観ていますが、そのたびに泣いています」と完成作に大感激。「チェン・カイコー監督との10年にわたる旅は、財産。監督は『おまえの読者が何人いるかはわからないが、この原作を1000回読んだのは俺だけ。おまえのことを世界で一番わかっているのは俺だ』と言ってくださった。そのときには『どうにでもしてください!』と思った」とうれしそうに語り、カイコー監督と会場の笑いを誘っていた。
取材・文/成田 おり枝