サプライズ連発の第90回アカデミー賞ノミネート発表!『シェイプ・オブ・ウォーター』が最多13部門にノミネート

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サプライズ連発の第90回アカデミー賞ノミネート発表!『シェイプ・オブ・ウォーター』が最多13部門にノミネート

日本時間23日夜に発表された第90回アカデミー賞ノミネートで、誰もが予想しなかった大波乱が起きた。それはトロント国際映画祭観客賞、ゴールデン・グローブ賞作品賞(ドラマ部門)、全米俳優組合賞キャスト賞というアカデミー賞作品賞受賞コースを快走していた『スリー・ビルボード』のマーティン・マクドナーが作品賞に次ぐ重要な部門、監督賞のノミネートから漏れてしまったことだ。

第85回アカデミー賞で作品賞に輝いたベン・アフレック監督の『アルゴ』(12)は、史上4本目の「監督賞候補に挙がらなかった作品賞受賞作」となった。過去には第1回作品賞受賞作の『つばさ』(27)『グランド・ホテル』(32)『ドライビング・MISS・デイジー』(89)しかない歴史を見事に打ち破っただけに、今年も監督賞から漏れた『スリー・ビルボード』の作品賞受賞の可能性は消えていない。

もちろん作品賞をはじめ、主演女優賞、助演男優賞では2枠、脚本賞、編集賞、作曲賞と6部門7ノミネートを獲得しており、今年の主役の一角であることは揺るがない。ただ、安泰と思われていた頂点への壁が少しだけ高くなってしまったようだ。

また、今回のサプライズはそれだけではない。監督賞に『ファントム・スレッド』のポール・トーマス・アンダーソンが挙がり、助演女優賞に同作のレスリー・マンヴィルが滑り込んだ。同作で引退を表明しているダニエル・デイ=ルイスの主演男優賞と、前評判の特に高かった衣装デザイン賞と作曲賞、作品賞も含む6部門にノミネートされる大健闘を見せたのである。

そして、主演男優賞にはデンゼル・ワシントンの名前が挙がった。過去に『トレーニング・デイ』(01)で主演男優賞受賞経験のある彼だが、下馬評では6番手以下の評価だった。しかし、上位に食い込むことが噂されていた『ザ・ディザスター・アーティスト(原題)』のジェームズ・フランコはゴールデン・グローブ賞の直後、ちょうどアカデミー賞の投票期間に過去のセクハラが告発され、その影響を受けての落選。繰り上がるようにしてワシントンが候補入りを果たしたと見てもいいだろう。

また同様に告発を受けたケヴィン・スペイシーが当初出演するはずだった『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド(原題)』は、公開直前にスペイシーの出演シーンをすべてカットして、代役をクリストファー・プラマーが演じたことが大きな話題に。そんな急を要する演技を見事にこなしたプラマーが、ゴールデン・グローブ賞に続きアカデミー賞でも助演男優賞ノミネートを果たしたのだ。

他にも『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』の大躍進に、メリル・ストリープの21度目のノミネート、“無冠の帝王”ロジャー・ディーキンスが14度目の撮影賞ノミネート。さらに撮影賞には『マッドバウンド 哀しき友情』でレイチェル・モリソンが初めて女性撮影監督としてノミネートされたことにも注目だ。

最多ノミネートは作品賞をはじめ技術部門でも躍進を見せた『シェイプ・オブ・ウォーター』の13部門。悲願の監督賞ノミネートを果たしたクリストファー・ノーランの『ダンケルク』が8部門でつづく。

主要前哨戦を勝利し、題材がタイムリーな『スリー・ビルボード』か、最多ノミネートの『シェイプ・オブ・ウォーター』か、はたまたゴールデン・グローブ賞の雪辱を晴らした『レディ・バード』の逆襲か。ますます混戦模様が高まるアカデミー賞の授賞式は日本時間3月5日(月)に行われる。主要部門のノミネートは以下の通り。

<作品賞>

『君の名前で僕を呼んで』

『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

『ダンケルク』

『ゲット・アウト』

『レディ・バード』

『ファントム・スレッド』

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

『シェイプ・オブ・ウォーター』

『スリー・ビルボード』

<監督賞>

ポール・トーマス・アンダーソン『ファントム・スレッド』

グレタ・ガーウィグ『レディ・バード』

クリストファー・ノーラン『ダンケルク』

ギレルモ・デル・トロ『シェイプ・オブ・ウォーター』

ジョーダン・ピール『ゲット・アウト』

<主演男優賞>

ティモシー・シャラメ『君の名前で僕を呼んで』

ダニエル・デイ=ルイス『ファントム・スレッド』

ダニエル・カルーヤ『ゲット・アウト』

ゲイリー・オールドマン『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

デンゼル・ワシントン『ローマン・J・イスラエル,エスク(原題)』

<主演女優賞>

サリー・ホーキンス『シェイプ・オブ・ウォーター』

フランシス・マクドーマンド『スリー・ビルボード』

マーゴット・ロビー『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』

シアーシャ・ローナン『レディ・バード』

メリル・ストリープ『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』

<助演男優賞>

ウィレム・デフォー『フロリダ・プロジェクト(原題)』

ウッディ・ハレルソン『スリー・ビルボード』

リチャード・ジェンキンス『シェイプ・オブ・ウォーター』

クリストファー・プラマー『オール・ザ・マネー・イン・ザ・ワールド(原題)』

サム・ロックウェル『スリー・ビルボード』

<助演女優賞>

メアリー・J・プライジ『マッドバウンド 哀しき友情』

アリソン・ジャーニー『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』

レスリー・マンヴィル『ファントム・スレッド』

ローリー・メトカーフ『レディ・バード』

オクタヴィア・スペンサー『シェイプ・オブ・ウォーター』

<長編アニメーション賞>

『ボス・ベイビー』

『ザ・ブレッドウィナー(原題)』

『リメンバー・ミー』

『フェルディナンド(原題)』

『ゴッホ 最期の手紙』

<外国語映画賞>

『ナチュラルウーマン』(チリ)

『ザ・インサルト(原題)』(レバノン)

『ラブレス』(ロシア)

『心と体と』(ハンガリー)

『ザ・スクエア 思いやりの聖域』(スウェーデン)

文/久保田和馬

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  • シェイプ・オブ・ウォーター

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