名曲揃いな『グレイテスト・ショーマン』のナンバーを解説!『ラ・ラ・ランド』コンビが本作でも本領発揮
ミュージカル映画というジャンルに新たなファンを取り込み、日本でも大ヒットしたことが記憶に新しい『ラ・ラ・ランド』(16)。アカデミー賞でも作曲賞や歌曲賞を受賞しただけあって、何度でも聴きたくなるミュージカルナンバーが大きな魅力だった。その『ラ・ラ・ランド』で音楽を担当したベンジ・パセックとジャスティン・ポールのコンビが、『グレイテスト・ショーマン』(公開中)で、またしてもヘビーローテーションしたくなる名曲たちを誕生させた。
音楽担当者たちが明かす楽曲の制作秘話
観客を一気にミュージカルの世界に引き込むオープニング曲が「The Greatest Show」。「主人公のP.T.バーナムがステージに登場する瞬間を待っているような感覚を込めた」とポールが語るように、ビートの効いた曲調で観客のテンションを一気に上げる“つかみ”は完璧だ。
続くナンバー「A Million Dreams」に乗せて、貧しい家庭に生まれたバーナムの子ども時代から、大人になり幼なじみのチャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)と結ばれるまでが駆け抜けるように描かれる。パセックによると「自分が評価されていないと思っている青年が、どうやって自分の希望を表現するか。それを子どもらしい純真さも込めて曲にした」とのこと。美しすぎるメロディと共に、のちに伝説の興行主に成長するバーナムの原点がわかり、早くもテンションは最高潮に!
オスカーノミネート曲の強烈なインパクト
ほかにもバーナムと、やがて彼の相棒となるフィリップ(ザック・エフロン)が、男の意地をかけてバーでダンスを競い合うワイルドなナンバー「The Other Side」、フィリップが想いを寄せる空中ブランコのパフォーマー、アン(ゼンデイヤ)と織り成すロマンチックなラブソング「Rewrite The Stars」など、次々とインパクトのある曲が登場。なかでも最も観客の心を打つのは、今年度のアカデミー賞歌曲賞にもノミネートされた「This Is Me」だろう。
バーナムは、他人と違うことで世間から白い目で見られながらも、類まれな才能を持つパフォーマーたちを集め、ショーを作り上げた。周囲の偏見に負けず、“これが私”と彼らが主張するこのナンバーは、メロディのインパクトはもちろん、歌詞も胸を打つ。まさに『グレイテスト・ショーマン』のメインテーマが込められているナンバーだ。ポールはこの曲について「ケイティ・ペリーのような、現在形のスタイルでメッセージを伝えるポップソングから大いに影響を受けた」と、若い観客にも強くアピールするものと断言。メインボーカルを担当したのは、ヒゲの生えた女性レティ・ルッツを演じたキアラ・セトル。その圧倒的なパフォーマンスは本作でも最大の見どころのひとつとなっている。
ヒュー・ジャックマンを中心に、キャストたちの極上のボーカルとダンスで魅了しながら、ストーリーと歌詞のシンクロ、シーンにぴったりのメロディと、あらゆる要素でミュージカル映画の王道を追求した『グレイテスト・ショーマン』。観終わった後もしばらく、楽曲の数々が頭の中でリフレインし、ときめきが止まらない!
文/斉藤博昭