国際派女優への第一歩!男たちの熱いドラマ『マンハント』は桜庭ななみに注目
『レッドクリフ』(08)や『ミッション:インポッシブル2』(00)など世界を股にかけて活躍するジョン・ウー監督がアジアを代表する俳優たちを集め、オール日本ロケで高倉健主演の名作『君よ憤怒の河を渉れ』(76)の再映画化に挑んだ『マンハント』(公開中)。
本作は無実の罪を着せられ逃亡する国際弁護士のドゥ・チウと、彼を追う孤高の刑事・矢村が、手を取り合って事件の真相に迫っていくサスペンス・アクションだ。『戦場のレクイエム』(07)などで知られる中国人俳優チャン・ハンユーと、多彩な才能を発揮する福山雅治が激しいアクションに挑戦していることでも大きな話題となっている。
そんな本作でひときわ瑞々しい魅力を放っているのが、福山演じる矢村の部下として捜査のアシスタントを務める新人刑事の百田を演じる桜庭ななみ。男たちが繰り広げる熱いドラマの中で、彼女が魅せる爽やかな笑顔と少しお茶目な雰囲気が、良いアクセントとなって作品に華を添えている。
2008年にデビューした彼女は、細田守監督の『サマーウォーズ』(09)でヒロイン篠原夏希の声を演じ注目を集める。その後、2010年には杉田成道監督の『最後の忠臣蔵』や猪股隆一監督の『書道ガールズ!!わたしたちの甲子園』での演技が高く評価され、日本アカデミー賞やブルーリボン賞、キネマ旬報などその年の新人賞を総なめ。
中国語と韓国語を得意とする彼女は、2016年に台湾ドラマ「戀愛沙塵暴」に出演し全編中国語の演技に挑戦。日本とアジアの100名以上の映画プロデューサーが選ぶ「APNアワード2016」を受賞し、日本からアジア圏へと活躍の場を拡げているのだ。
「ジョン・ウー監督とご一緒したことは一生の宝になると思う。本当に幸せな時間だった」と本作への出演を振り返った桜庭。すでに昨年秋に行われたトロント国際映画祭やヴェネチア国際映画祭でお披露目され、世界的にも高評価を獲得した本作をきっかけに、彼女が世界へと羽ばたいていくことに期待したい。
文/久保田和馬