ポッキー少女・忽那汐里、すっぴんの演技に見る女優魂

インタビュー

ポッキー少女・忽那汐里、すっぴんの演技に見る女優魂

橋本紡の累計140万部を突破した人気恋愛小説を映画化した『半分の月がのぼる空』(4月3日公開)で、ヒロイン里香役を好演した忽那汐里。愛くるしい第50代ポッキー・プリンセスの彼女が、本作では心臓病の美少女というリアリティーを出すために、すっぴんで大熱演! 話を聞いてみたら、本作への相当な意気込みが伝わってきた。

忽那が演じた里香は、長い入院生活で笑顔を忘れてしまった薄幸の美少女だが、すっぴんで演じているからこそ設定にリアリティーが感じられる。「その時は肌の調子が悪かったので、すっぴんにはかなりの抵抗があって。でも、監督からすべてを徹底的にやるという姿勢を感じたので、ノーメイクでいきました」。その結果、思春期ならではの少女のはかな気な美しさがにじみ出たわけだ。

里香と恋に落ちる主人公・裕一に扮したのは、『砂時計』(08)や『DIVE!!』(08)の若手演技派俳優・池松壮亮だ。彼について忽那は、「池松くんが私を引き出してくれる大きな力になってくれたので、私はそれについていったという感じです」と感謝の念を語る。でも、それ以上に貢献したのは、メガホンをとった深川栄洋監督だった。

前作『60歳のラブレター』(09)が高く評価された深川監督は、実に細やかな演出をするようだ。忽那は、今回深川監督から発声から演技までマンツーマンの指導をみっちり受けたと言う。「『アンテナを高くして相手に届けないと成り立たない』とか、はっきりと厳しくおっしゃる方です。『僕が“何ミリ単位”で物事を考えているかを全部理解してほしい』とも言われました。それだけ真剣に向き合ってくださったのは、本当に幸せなことでした!」。

深川監督についての賛辞の言葉は止まらない。「監督の場合、演出の細かさ、密度が違います。今回、映画の世界ならではの繊細さや、丁寧さ、特に感情表現の豊かさを感じました。作品に向き合う姿勢や責任感なども、今まで分かってなかったんだなって気付けたし。本当に素晴らしい監督でした!」。

彼女は、本作に続き、錦戸亮と共演した『ちょんまげぷりん』(夏公開)、ヒロインを演じた『BECK』(9月4日公開)などの映画が待機中で、まさに2010年は女優開眼の年となりそうだ。その手応えを聞くと、「開眼だなんて! ようやくスタートラインに立てただけです」と照れながらも本作を力強くアピール。「今回の現場は、すべてのきっかけを与えてくれました。私の代表作として多くの方に観ていただきたいです」。

彼女の天然素材の質の高さにうならされる『半分の月がのぼる空』は、きっと忽那汐里の“女優史”の指標となるだろう。2010年、彼女は「ポッキーのCMの美少女」から、「女優」へと華麗に飛躍する。それをしかとスクリーンで目撃したい。【Movie Walker/山崎伸子】

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