【第90回アカデミー賞】日本人メイキャップアーティスト、辻一弘がオスカー3度目の挑戦で頂点に輝く!
現地時間4日(日本時間5日)に発表された第90回アカデミー賞。メイキャップ&ヘアスタイリング賞は『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』(3月30日公開)でノミネートされていた日本人メイキャップアーティストの辻一弘が見事に最優秀賞を受賞した。
日本人がアカデミー賞の正賞を受賞するのは、第81回で短編アニメーション賞を『つみきのいえ』(08)で受賞した加藤久仁生監督以来の快挙。メイキャップ部門では初めての受賞となる。
辻は黒沢清監督の『スウィートホーム』(89)や黒澤明監督の『八月の狂詩曲』(91)に参加したのち単身で渡米。アカデミー賞受賞歴のあるディック・スミスに師事し、7度のアカデミー賞に輝く大御所リック・ベイカーの元でキャリアを積む。そして「メン・イン・ブラック」シリーズや『ヘルボーイ』(01)、また『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(08)などの作品に参加した。
アダム・サンドラー主演のファンタジー『もしも昨日が選べたら』(06)とエディ・マーフィーが奇抜な1人3役に挑んだコメディ映画『マッド・ファット・ワイフ』(07)でノミネートされた辻だが、いずれも受賞には至らなかった。その後、現代美術の道へと進んだ彼は、本作で5年ぶりに映画界に復帰。念願のオスカーを獲得した。
共に受賞を果たしたデヴィッド・マリノウスキー、ルーシー・シビックと壇上に上がった辻は3人を代表してスピーチに臨み、ゲイリー・オールドマンをはじめとした関係者への感謝を述べたのち「全員にとって夢が叶えられました」と喜びをかみしめた。
メイキャップ&ヘアスタイリング部門は、前哨戦で有力視されていた『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(5月4日公開)などがノミネート段階で落選。ほかにノミネートされたのは全米でサプライズヒットを記録した『ワンダー 君は太陽』(6月公開)と、衣装デザイン賞にもノミネートされた『ヴィクトリア・アンド・アブダル(原題)』。
文/久保田和馬
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