『ジュマンジ』のドウェイン・ジョンソンが10代のころの悩みや俳優転身時の葛藤を告白

インタビュー

『ジュマンジ』のドウェイン・ジョンソンが10代のころの悩みや俳優転身時の葛藤を告白

全米で2017年12月20日に公開され、「スパイダーマン」シリーズ全作品の数字を抜き去り、ソニー・ピクチャーズ独自製作/配給作品として歴代1位の興行成績を打ち立てた『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(4月6日公開)。ぶっちぎりのメガヒットとなった本作で製作総指揮と主演を務めた、ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンにインタビュー。

前作『ジュマンジ』(95)は、ボードゲームの内容が現実世界で起こるという奇想天外な物語だった。今回は古いテレビゲーム“ジュマンジ”を発見した4人の高校生が、ゲームの中に吸い込まれ、自分とは外見や性質がまったく異なるゲームのキャラクターとなり、命懸けの冒険を繰り広げていく。

ドウェインの出演作としても、「ワイルド・スピード」シリーズを超えるナンバー1ヒット作となった本作。「僕にとっても特別な昨品となった。VFXがすごくクールで楽しいし、僕たちが10代の役柄を演じているという設定がいいでしょう?95年版の映画にひねりを加え、それを新しい世代に届けられたことはすごく良かったと思う」とドウェインは手応えを口にする。

ドウェインが演じたのが、中身は気弱なゲームオタクのスペンサー、でも外見はマッチョで無敵な冒険家スモルダー・ブレイブストーンというキャラクター。ドウェインは二面性のある役柄を演じることについて「すべてのシーンにおいて2つの感情を表現しなければいけなかった。最高だったけど、大きな挑戦でもあったよ」と、やりがいを感じた様子。

4人の中で一番外見と中身とのギャップが激しいのが、ジャック・ブラック演じるセルフィが大好きなうぬぼれ美人のベサニーだ。キュートなマディソン・アイスマン演じるベサニーが、なんとデブオヤジの地図専門家、シェリー・オベロン教授というキャラクターにされてしまう。性別さえも変えられたベサニーに、スペンサーたちが立ちションの仕方を指南するシーンは爆笑ものだ。

ドウェインも同シーンについて「めちゃくちゃ楽しい撮影だった」と笑う。「なんといっても、僕やジャック、ケヴィン(・ハート)は、もともと笑いのあふれる現場を作るのが大好きなんだ。特にジャックはコメディの天才だから、なにをやっても笑えるし、特にあのシーンは、爆笑必至のシーンに仕上がったと思う」。

ドウェインに10代のころを振り返ってもらうと、意外にもスペンサーと同じように「心の葛藤を抱えていた」という過去を打ち明けてくれた。「13歳のころ、僕はすでに身長が182cm、体重も90kgあったけど、自分の体とはまだ向き合えていなくて、不安を抱えていた。ニキビ面のアフロヘアで、ヒゲも中途半端な生え方だったし。しかも12歳ごろまでは、女の子と間違われるような中性的なルックスだったんだ。家庭の事情で引っ越しも多かったから、新しい学校へ行くたびに『僕は男の子だ!』とアピールしていたけど、けっこう心理的なダメージが大きかったよ」。

アドベンチャー映画でありながらも、ティーン・エイジャーたちの成長譚でもある本作。スペンサーたち4人は、自分の外見が他人のものに変わったことで、改めて自分の長所や短所に気づき、それぞれのコンプレックスを克服していこうとする。

ドウェインが本作でいちばん伝えたかったのは「ありのままの自分でいい。人と違っても大丈夫」というメッセージだと言う。「みんな10代のころは、イケてるグループの一員になりたいとか、とにかく人に愛されたいとか、友だちは多いほうがいいとか、いろんな理想を抱く。僕だってそうだったし、きっと誰しも自分自身に決して満足していなかったと思う。でも、大人になってからも、同じようなことに思い悩んだりするよね」。

順風満帆にキャリアを築いてきたように思えるドウェイン自身も、プロレスラーから俳優へ転向したころは、自分自身のアイデンティティを模索していたことを告白。「僕は幸運なことにプロレスラー時代に人気を得られ、最後の試合は東京でも開催したけれど、たくさんのファンが駆けつけてくれたよ。その試合の約6か月後、『スコーピオン・キング』(02)あたりからハリウッド進出をしていったんだ」。

さらにドウェインは、当時のことをこう語る。「始めは『レスラーとしての自分を封印すべきなんじゃないか』『ザ・ロックの愛称で親しまれてきたけど、ドウェイン・ジョンソンという本名のほうがいいんじゃないか』とか、周りの人からいろいろ言われたよ。当時29、30歳くらいだったけど、まるで10代の時と同じように『自分は一体何者なんだ?いまの自分にはなにかが足りないのか?』と自問自答をしていたよ」。

ドウェインは、そこから気持ちを切り替え、最終的に「ありのままの自分でいいじゃないか」という考えを受け入れていったと言う。

「僕はレスラー時代の自分を誇らしいと思っているし、レスラーとして世界中を旅したことも良い経験になった。ザ・ロックという名前も超クールでイケてると思っているし(笑)。そのままの自分でいること自体、すばらしくてパワフルなことだと思う。この映画を観てくれる方にも、そういうメッセージを感じとってほしい」。

取材・文/山崎 伸子

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