監督・是枝裕和の夢叶う!『万引き家族』で細野晴臣との初タッグが実現
『海街diary』(15)や『海よりもまだ深く』(16)などで様々な“家族のかたち”を描いてきた、是枝裕和監督の最新作『万引き家族』が6月8日(金)より公開される。本作で、是枝監督の熱烈なラブコールを受け、劇伴を担当することになったのが世界的ミュージシャンの細野晴臣だ。映画と音楽、ついに実現した2人の名匠の初タッグに早くも期待が高まっている。
今回、是枝監督が新たに描くのは、東京の下町にある古い平屋で暮らし祖母の年金や“万引き”をして生活費を稼ぐ一家の物語。ある日、体中傷だらけの少女を家に迎えたことから、家族はバラバラに引き裂かれていく…。
劇伴を手がけた細野と言えば、はっぴいえんどやイエロー・マジック・オーケストラ(Y.M.O)など多岐にわたる活動で、国内外で高い評価を得る日本を代表するミュージシャン。これまでにも多くの映画音楽を制作してきた彼だが、意外にも是枝監督と組むのはこれが初めて。かつて、細野が手がけた『銀河鉄道の夜』(85)や『メゾン・ド・ヒミコ』(05)のサウンドトラックに感銘を受けてきた、是枝監督の熱い思いが届いた形で今回のタッグが実現した。劇伴を依頼した是枝監督は「今までも音楽をお願いしたいと思っていましたが、ついに念願叶ってという感じです」とその喜びの心境を明かしている。
一方、劇伴の在り方について、映画を観終わった後に「あれ?音楽鳴っていたかな?」と思うくらいに音楽が出しゃばらないのが理想だとする細野。依頼を受けた当初は「ドキュメンタリーのような映画だから、音楽はいらないんじゃない?」と言って、是枝監督をドキッとさせたそう。しかし、無事完成した音楽は、登場人物の感情のざわめきを優しく慎ましやかに奏でるものになっており、是枝監督も「詩のようなものが浮かび上がる作品に仕上げたいという意図をくみ取ってくださり、素晴らしい音楽をつけてくださいました」とその出来栄えには大満足だったようだ。
本作は、是枝監督作品としては『海街diary』以来3年ぶりに、第71回カンヌ国際映画祭(5月8日~19日)のコンペティション部門へ正式出品されることも決まっている。是枝監督が描く家族の感情の揺れ動きに、細野のアンビエントな音楽がどのように溶け込んでいるのか、ぜひ劇場で確かめてみてほしい。
文/トライワークス