北野武監督『アウトレイジ』への期待が高まる!第63回カンヌ国際映画祭まもなく開幕
いよいよ始まる第63回カンヌ国際映画祭。まずは今年のラインナップを紹介しておこう。
オープニングはアウト・オブ・コンペティションで『ロビン・フッド』(リドリー・スコット監督)だ。ラッセル・クロウのロビンに、ケイト・ブランシェットのマリアン姫。『グラディエーター』コンビ、再び立つ。
●コンペティション
『Tournee』(フランス、マチュー・アマルリック監督・出演)/『潜水服は蝶の夢を見る』『007慰めの報酬』などの俳優アマルリックが監督を務める。
『Another Year』(イギリス、マイク・リー監督)/出演はジム・ブロードベント、イメルダ・スタウントン、レスリー・マンヴィルほか。マイク・リー監督は『秘密と嘘』(96)でパルム・ドール受賞。
『Biutiful』(スペイン=メキシコ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督)/出演はハビエル・バルデム、ブランカ・ポルティージョほか。アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督『アモーレス・ペレス』で批評家週間グランプリ、『バベル』(06)でカンヌ監督賞を受賞。
『The Exodus Burnt by the Sun 2』(ドイツ=フランス=ロシア、ニキータ・ミハルコフ監督・出演)/出演はオレグ・メンシコフほか。カンヌグランプリ受賞作『太陽に灼かれて』(94)の続編。
『Certified Copy』(フランス=イタリア=イラン、アッバス・キアロスタミ監督)/出演は公式ポスターに登場したジュリエット・ビノシュ。『桜桃の味』(97)でパルム・ドールを受賞したイランのキアロスタミ監督がフランスで撮影した作品だ。
『Fair Game』(アメリカ、ダグ・リーマン監督)/出演はナオミ・ワッツ、ショーン・ペンほか。妻がCIA局員と暴露された中東専門家の実話をベースにしている。
『Hors-la-loi』(フランス=ベルギー=アルジェリア、ラシッド・ブシャール監督)/出演はロシュディ・ゼムほか。ロシュディ・ゼムは『デイズ・オブ・グローリー』で06年のカンヌ男優賞を団体受賞している。
『The Housemaid』(韓国、イム・サンス監督)/出演はデ・ヨンジュン、チョン・ドヨンほか。『ユゴ 大統領有故』のイム監督と『シークレット・サンシャイン』(08)でカンヌ女優賞を獲得したチョン・ドヨンによる往年の韓国名作映画のリメイク。
『La nostra vita』(イタリア=フランス、ダニエレ・ルケッティ監督)/出演はラウル・ボヴァほか。『イタリア不思議旅』(88)の監督が撮った作品。
『La Princesse de Montpensier』(フランス、ベルトラン・タヴェルニエ監督)/出演はギャスパー・ウリエル、メラニー・ティエリーほか。ベルトラン監督は『田舎の日曜日』(84)でカンヌ監督賞受賞。
『Of Gods and Men』(フランス、グザヴィエ・ボーヴォワ監督)/出演はアデル・ベンチェリフほか。95年カンヌ審査員賞受賞のグザヴィエ監督が、昨年のグランプリ受賞作『A Prophet』のアデルと組む新作。
『Outrage』(日本、北野武監督)/出演は北野武、椎名拮兵、加瀬亮ほか。今年の審査員には元ヴェネチア映画祭ディレクターが。もしかすると!?
『Poetry』(韓国、イ・チャンドン監督)/出演はハ・ジョンウンほか。監督は『シークレット・サンシャイン』(08)でカンヌ女優賞をチョン・ドヨンにもたらした。
『A Screaming Man』(フランス=ベルギー=チャド、マハマット=サレ・ハルーン監督)/ヴェネチア映画祭では審査員賞を獲得したことがある。
『Uncle Boonmee Who Can Recall His Past Lives』(スペイン=タイ=ドイツ=イギリス=フランス、アピチャートポン・ウィーラセータクン監督)/監督は『トロピカル・マラディ』で04年カンヌ審査員賞受賞。
『You, My Joy』(ウクライナ=ドイツ、Sergey Loznitsa監督)
『Chongqing Blues』(中国、ワン・シャオシュアイ監督)
『Tender Son -The Frankenstein Project』(ハンガリー=ドイツ=オーストリア、コーネル・ムンドルッチョ監督)
コンペティションにカンヌ受賞経験者のベテランの名前が目立つ。これは昨年もそうだったが、世界同時不況の影響だろう。映画製作インフラの整っていない国や、恵まれないインディペンデント作家、アート系作家に公開と製作チャンスを与えられればとコンペ入りさせてきたカンヌ映画祭。だが、そんな作家たちを不況が直撃する。作品が出来上がったら持っておいでといった監督たちの新作が完成せず、集まらないのだろう。そうなるとベテランや常連に泣きついて出品してもらうこともあるだろう。もちろん、見る方からすれば安心して楽しめる常連作品はありがたい。が、志を立てて映画祭を運営したい事務局としては、痛しかゆし、かもしれない。
それでも、これだけの作品が集まるカンヌ映画祭。さすが、である。開会式は12日(現地19時15分、日本時間13日2時15分)。まもなくである。【シネマアナリスト/まつかわゆま】