『G-レコ』富野由悠季監督にインタビュー!「大事なのはアイーダとベルリの姉弟話」【前編】
劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ』。その第1部となる「行け!コア・ファイター」の上映が11月29日(金)より開始される。それに先立ち、総監督の富野由悠季にお話しを伺うことができた。2014年10月から放送された全26話のテレビシリーズを5本の劇場版として再構築する作品だが、「ただの再編集版ではなくこれでようやく完成品になった」と語る。その真意とは?
「ベルリとアイーダの関係がとても見やすいものに」
――富野監督はテレビアニメ『Gのレコンギスタ』(以下『G-レコ』)の放送後、盛り込みたい内容が多く「観づらいアニメを作ってしまった」と語っていましたが、今回の劇場版ではどんな作業をされたのでしょう。
富野由悠季監督(以下、富野監督)「整理して観やすくした、それだけのことです。そのために部分的に余分なカットは割愛もしたし、徹底的に不足しているカットは新たに入れ込んだりしています。しかし、それほど追加するものはありませんでしたので、いまはこのようになりましたという言い方しかできません」
――劇場版第1部ではアイーダの心理描写が増えていました。
富野監督「『G-レコ』で大事なのはアイーダとベルリの姉弟話。画面に一番出ているベルリとアイーダの関係がよくわからなかったら、子どもには観られない。テレビシリーズではそうなってしまっていたんです。でも劇場版を観れば、2人の関係をしっかりと見ることができます。一つか二つ歳上のお姉さんをちょっと好きになっちゃった。でも好きになっちゃったのは、実を言うと本当のお姉さんだった。男の子だったら、それが(第3部で)わかった時はやっぱりそれなりに悶えるだろうと思います。反対にお姉さんだったら、やっぱり弟をどう扱うかと考え込むでしょう。その部分を補強して芯ができると、それ以後にTVシリーズと同じことを描写していても、ベルリとアイーダの関係がとても見やすいものになるんです。テレビ版の冒頭、映画の第1部では、恋人を殺した敵(ベルリ)を認めざるを得なくなった時、アイーダが感情的になって泣くという描写があります。その感情との落差が腑に落ちないと観客は絶対に映画を観てくれません。今回の『G-レコ』は姉弟話もかなりリアリティのある、皮膚感を持ったキャラクターになっていると思います」