『この世界の片隅に』でも注目された広島・呉で『孤狼の血』ロケ地巡り!
5月12日に公開を迎えたハードボイルド大作『孤狼の血』(公開中)。警察とヤクザの関係を描いた本作は、生々しいバイオレンス描写や物語の舞台が広島県ということもあり、『仁義なき戦い』(73)のDNAを継ぐ作品との呼び声が高く、その映像から漂うギラギラとした空気感もよく似ている。その理由の1つに『孤狼の血』では、オール広島ロケが敢行されているのだ。
広島・呉は任侠映画の聖地
架空の都市、広島県呉原市を舞台とした本作、名前からも推測が付くと思うが広島県呉市でほとんどのロケが実施されている。呉市は広島県の南西部に位置する瀬戸内海に面した港町。映画やドラマの舞台やロケ地となることも多く『仁義なき戦い』シリーズはもちろんのこと、近年ではアニメーション映画『この世界の片隅に』(16)の舞台として話題に。全国から多くのファンが“聖地”を訪れる現象を巻き起こしたことは記憶に新しい。
呉市街が見渡せる灰ヶ峰で密談撮影
そんな呉市を一望できる灰ヶ峰は、劇中では重要なシーンで使用されている。呉の街並みを背に役所広司演じるベテラン刑事・大上と松坂桃李扮する新人刑事・日岡が尾谷組若頭・一ノ瀬(江口洋介)と密談を交わす一幕。抗争事件を巡る刑事とヤクザの緊張感溢れる会話が繰り広げられるが、その一方で眼下に広がるのは呉市街の絶景というコントラストがなんとも印象的だ。
雰囲気たっぷりの日本家屋がヤクザ事務所に
一ノ瀬が属する尾谷組の事務所のロケ地として使用されているのは、呉市内の一般企業である広伸海運の事務所とそのすぐ横にある松浦邸。劇中では何度もこの場所が登場し、強面たちが集う組事務所となっているが、実は一般企業の社屋なのだ。ちなみに尾谷組は古くから地元に根付き、海運業で成長したヤクザというコンセプトであり、意外にも、映画と現実の間で共通点が見受けられる。
水道局がひと工夫で警察署に変身!
また大上ら刑事たちの職場となる呉原東署には、内観外観ともに現在稼働していない旧水道局の建物を使用している。どちらも役所という点で共通しているが、警察署のエンブレムや看板で、ここまで自然に警察署に見えてしまうから面白い。
昭和の繁華街を再現
本作では、繁華街もたびたび登場しており、実在する繁華街の風情と、路地に配置された昭和60年代風のセットが融合し、呉原の街を形成。その中で異彩を放っているのが黄色い壁面が有名な“黄ビル”だ。真木よう子演じる里佳子がママを務めるクラブ「梨子」は、黄ビルの空き店舗にセットを作って撮影。さらに里佳子が日岡に、大上との過去を打ち明ける夏祭りのシーンは、黄ビル前の堺川沿いで、100名を超えるエキストラを動員し撮影が行われている。
映画のロケ地を知ると、本編がまた違って見えるもの。一度映画を観たという人は、もう一度、劇場で映画を観るか、もしくは実際にロケ地に足を運んでみてはいかがだろうか?
文/トライワークス