『モリのいる場所』沖田修一監督と『孤狼の血』の白石和彌監督が爆笑対談
山崎努と樹木希林の初共演映画『モリのいる場所』(公開中)のトークショーが、5月22日にユーロスペースで開催され、本作の沖田修一監督と、『孤狼の血』(公開中)の白石和彌監督が登壇。2人はお互いの映画の感想を交換し合い、場内をおおいに盛り上げた。
『モリのいる場所』は、山崎努と樹木希林が、結婚して52年目となる洋画家・熊谷守一夫妻を演じるヒューマンドラマ。『孤狼の血』は、役所広司や松坂桃李が共演した「仁義なき戦い」の系譜を行く警察ドラマとなっている。
沖田監督は、『孤狼の血』について「本当に笑いました。僕の横で若いカップルが観てて、その対応も楽しくて(笑)。白石さんの映画の勇気みたいなものがいろんなところにあった。普通は通り過ぎちゃうようなことを『絶対やってやる!』という意思が見えました」と絶賛する。
白石監督は沖田監督の映画が大好きだそうで「常に贅沢な感じ。山崎さんと樹木さんが集った段階で勝負があったかなと。本当に豊かな時間を作っていて、その真骨頂がこの映画だなと思いました。羨ましいです」と、互いにリスペクトし合った。
白石監督が「沖田さんは、放おっておくと、老人とかおばちゃんを撮り出す」と指摘すると会場は大爆笑。沖田監督が「性癖って言われたけど、違うんです(笑)。それは白石さんの県警とヤクザってことと同じではないんです。完全に誤解です」と苦笑した。
作風が全く違う2人ということで、白石監督は「沖田さんは、ロケを頼みに行っても断られないでしょ?僕はだいたいどこへ行っても断られます。人を埋めるシーンでは、どれだけ断られたか」と言ったあとで『日本で一番悪い奴ら』(16)のエピソードを披露。
白石監督が「『警察が覚醒剤中毒になる映画です』と説明すると、通常は『ええ!』と言われるんです。沖田監督の映画には、覚醒剤中毒者は出てこないですよね?」と尋ねると、沖田監督は「ないですね。ほっこり系の覚醒剤中毒者とか」と言って会場の笑いを取る。
沖田監督が「俺、ベッドシーンも一度も撮ったことがなくて。本当にやりたいなと。拳銃と暴力とかもね」と言うと、白石監督は「沖田監督が拳銃と暴力⁉」と意外な組み合わせにびっくり。
沖田監督が「美術の安宅(紀史)さんから『監督は刑事アクションをやらせたら絶対におもしろい』と言われたんですよ」と言うが、白石監督は「なかなか捜査が進まないでしょ(笑)」とツッコむ。
沖田監督もうなずき「安宅さんに『ぜひ、やりましょう!』と言っていたのに、ふたを開けたら本作でした」と言って、白石監督と大笑いした。
取材・文/山崎 伸子