松たか子は日本のN・キッドマン!『告白』初日舞台挨拶
『下妻物語』の鬼才・中島哲也が、湊かなえの同名ベストセラー小説を映画化した『告白』の初日舞台挨拶が行われた。イギリスをはじめ、世界配給が決定している本作。ハリウッドがリメイクするという声も挙がっており、中島監督がそれぞれの役をハリウッドでは誰に演じてもらいたいかを発表した。
まず、主演の松たか子が演じたのは、担任するクラスの生徒に娘を殺された女性教師。中島監督は、主役には二コール・キッドマンが適役だという。「松たか子は、日本の二コール・キッドマン」という監督の発言に、松は「誰にも呼ばれてない!なんで嘘つくんですか!?」と苦笑い。
次に、岡田将生が演じた空気の読めない新米教師役には、ダニエル・ラドクリフの名前を挙げた。岡田は「…『ハリー・ポッター』ですね」と一言。中島監督は「彼(ラドクリフ)はもう学生役がキツそうだから、新米教師役をやればいいじゃん」とコメント。また、木村佳乃が演じた息子を溺愛する母親役には、同じタイミングで公開となった『セックス・アンド・ザ・シティ2』を意識したのか、サラ・ジェシカ・パーカーの名を口にした。
次々に真実が明らかになっていく緻密なストーリー展開で、観る者を物語に引き込んでいく本作。中でも見どころはクライマックスで見せる松たか子の表情だ。その演技を見た中島監督は「すごい女優だと思った。最初の1テイク目で素晴らしい表情が撮れましたが、もっと出るような気がして5テイクまで粘って最高のシーンが撮れました」と満足気。演じた松は「監督を信じて頑張りました。その日の現場に入ったときから何が何でもOKを出す!と覚悟していました」と当時の意気込みを語った。
松が演じる主人公は、娘を殺した生徒に想像を絶する方法で処罰を与えていく。この悲劇を中島ワールドが鮮やかな演出で描いていくが、そこには何の救いもない。そもそも復讐にハッピーエンドなんてありえないから当然なのだ。最後に松は「観終わった後に希望を持ってもらえたら、この映画は幸福だなと思います」と映画を観る人にメッセージを送った。難役を見事に演じきった出演者たちの熱演を劇場で堪能してほしい。【取材・文/鈴木菜保美】