観客は続編にウンザリ?米国サマーシーズンの興行収入に暗雲

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観客は続編にウンザリ?米国サマーシーズンの興行収入に暗雲

アメリカ映画業界が一番活況となるサマーシーズンの幕開けとなったメモリアルデイ・ウィークエンドの4日間(5月28日〜31日)のボックスオフィスは、トータルで1億8420万ドルと、2001年の1億7780万ドル以来最低の結果となった。

2004年以降は、単価の高いIMAXシアターや3Dなどの普及、チケット代金そのものの上昇も手伝って毎年2億ドル以上の成績を上げてきただけに、この数字は上り調子だったアメリカ映画産業に暗い影を落とし、早くもサマーシーズンのボックスオフィスを危ぶむ声が上がり始めている。

5月に公開された大作は、ロバート・ダウニー・Jr.の大ヒット作シリーズ第2弾『アイアンマン2』(6月11日公開)やリドリー・スコット監督とラッセル・クロウ主演の『ロビン・フッド』(12月公開予定)、シリーズ最終章となる『シュレック・フォーエバー・アフター』(12月18日公開予定)、そして前編が大ヒットとなった『セックス・アンド・ザ・シティ2』(公開中)、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなど数々の大ヒット超大作を手がけている凄腕プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが放つ、ジェイク・ギレンホール主演『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』(公開中)など。これらはほとんどが製作費2億ドルを超える超大作だが、同週末までの興行成績を見てみると、『アイアンマン2』は3000万ドル以上、『SATC 2』『シュレック〜』は共に約1000万ドルも予想値を下回っており、『プリンス・オブ・ペルシャ』も予想値の最低ラインにとどまった。

『プリンス・オブ・ペルシャ』に関しては、ジェイクにそこまでの“スターパワー”がなかったという考え方もできるが、他の作品においては保証済みだったはずの続編で集客できなかった結果について批評家たちは、「観客が続編に飽きた可能性が高い」と指摘。様々な記録を塗り替えた『アバター』(09)や『アリス・イン・ワンダーランド』(公開中)のおかげで現時点での2009年トータルの興行成績が昨年を上回っている事実を考えても、観客の目がよりシビアになっていることが想像できる。

6月にはジャッキー・チェン&ジェイデン・スミス(ウィル・スミスの息子)主演『ベスト・キッド』(8月14日公開)、『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(8月20日公開)、トム・クルーズ主演『ナイト&デイ』(秋公開予定)、そして『トイ・ストーリー3』(7月10日公開)、シリーズ第3弾『トワイライト・サーガ エクリプス』(11月公開)など大作の公開が続々と控えており、ボックスオフィスの巻き返しが期待されている。しかし、20世紀フォックスの幹部は「メモリアルデイ・ウィークエンドの結果は、サマーシーズンにも及ぶことになるだろう」と悲観的なコメントを出しており、特に続編がどのような結果を示すかによって、今後の映画製作にも大きな影響が出てくるかもしれない。【NY在住/JUNKO】

※ボックスオフィスとは、「チケット売り場」を指し、そこでの売り上げ=興行収入を意味するのが一般的
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