ロン・ハワード監督が明かす、“SWの生みの親”ジョージ・ルーカスとの出会い
「スター・ウォーズ」シリーズが誇る人気キャラクター、ハン・ソロの若き日の冒険を描きだした『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(公開中)。本作でメガホンをとるのはシリーズの生みの親であるジョージ・ルーカスと旧知の仲として知られるロン・ハワード監督。来日したハワード監督に直撃し、盟友ルーカスとの思い出を聞いた。
元々『21ジャンプ・ストリート』(12)などのフィル・ロード&クリス・ミラー監督がメガホンをとって製作が進められていた本作を、途中から引き継ぐこととなったハワード監督。「『ウィロー』のTVシリーズの話をするつもりでミーティングに行ったら、キャスリーン・ケネディから本作について相談されたんだ」と、抜擢の経緯を振り返る。「友人たちを助けることもできるし、クリエイティブな挑戦だと感じたんだ。それになにより、ルーカスは僕にとってお兄さんだからね」。
『ビューティフル・マインド』(01)で第74回アカデミー賞作品賞や監督賞など主要4部門を受賞するなど、娯楽色の強い作品から重厚なヒューマンドラマまで幅広くこなす職人監督として日本でも非常に人気の高いハワード監督は、『バニシングIN TURBO』(77)で監督デビューを果たす以前に俳優として活躍していた。その当時の代表作が、ルーカスの出世作である青春映画『アメリカン・グラフィティ』(73)だ。
ハワードは「初めて彼に会った時のことはよく覚えているよ」と微笑みながら振り返る。当時ルーカスは同作のことを“誰も歌わないミュージカル映画”と表現したそうで、その独特なコンセプトを聞かされたハワードは、その天才ぶりに敬服したという。さらに「彼の作品が独特なのは、様々なアイデアを彼自身が夢見ているものに上手に応用できるからだと思う」と解説し「例えばこの『スター・ウォーズ』というシリーズでは、黒澤明監督の映画や時代劇といった日本の文化をSF映画に応用しているように」と、ルーカスの才気が稀代の人気シリーズを作り上げたことを裏付けた。
また『アメリカン・グラフィティ』には、後にハン・ソロとして世界的ブレイクを果たすハリソン・フォードも出演している。ハワードとハリソンは、監督と俳優の立場でタッグを組んだことはまだ1度も無いものの、40年以上にわたり親しい関係がつづいているようで「監督することが決まった時、ハリソンに電話をしたんだ」とハワードは明かし「それより前にオールデンとミーティングしていた彼は『オールデンは才能のある役者だから、僕のアイデアは押し付けたくないし、彼のイマジネーションを限定させることはしたくなかったんだ』と言って、具体的に役について話さなかったそうだ」と語る。
そして「僕は彼がすべての役を考え抜いて演じていることを知っていたから、演出する上での個人的な見方を教えてもらったんだ。ソロのユーモアや人間的な豊かさ、そして自分がなにかをする時に、正しいか間違っているかわからなくても正しいふりをする。それがハン・ソロにチャーミングな部分を与えているのだと。僕はそれをそのままオールデンに伝えたんだ」と誰よりもハン・ソロを知る男からのアドバイスが、本作にしっかりと反映されていることをにおわせた。
ハワードといえば、日本では『ダ・ヴィンチ・コード』(06)や『天使と悪魔』(09)などの“ラングドン教授”シリーズの人気も非常に高い。先日ダン・ブラウンがシリーズの新作「オリジン」を引っさげて来日したが、すでに映画化のプランはあるのだろうか?「まだ話していいのかわからないけれど、可能性はあるよ」と、ハワードは小さく微笑んだ。
さらに世界中でサマーシーズンの目玉作品のひとつとなっている本作は、多くの国でハワード監督の娘ブライス・ダラス・ハワードの出演作『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(7月13日公開)と直接対決。自身のInstagramにブライスからの動画を投稿するなど家族仲の良さを見せつけるハワードは、インタビュー後にこの数週間後にキャンペーンで来日するブライスを気にかけているコメントをするなど、終始和やかな様子。その気さくで飾らない人柄が、彼の最大の魅力なのかもしれない。
取材・文/久保田 和馬