トヨエツが浴衣姿で真のサムライをアピール!映画『必死剣鳥刺し』が完成
『隠し剣鬼の爪』(04)、『武士の一分』(06)と、数々の名作時代劇の原作者として知られる故・藤沢周平。彼の“隠し剣シリーズ”の中でも評判の高い作品を映画化した『必死剣鳥刺し』が7月10日から公開される。主演を務めた豊川悦司らがそろって浴衣で登場し報告会見を行った。東映配給の本格時代劇である本作。当初会見は静かで厳粛な静かな雰囲気で進むかと思われた。だが、豊川がワールドカップの興奮が冷めやらない現在のサムライブームに乗っかった名宣伝マンっぷりを発揮した。
映画の舞台は江戸時代。海坂藩主の悪行が横行するなか、豊川演じる近習頭取・兼見三佐ェ門は、藩主・右京太夫(村上淳)の愛妾・連子(関めぐみ)を殺める。だが、その処分は意外なほど軽かった。中老・津田民部(岸部一徳)が、「鳥刺し」という必殺技を持つ三佐ェ門の剣の腕に目をつけたのだ。民部から右京暗殺計画を阻止するように命じられた三佐ェ門。政治的策謀に翻ろうされながらも自らの正義を貫こうと戦う武士の姿を重厚なタッチで描いていく。
主人公を演じた豊川は、同じ“サムライ”という共通点を自ら発し、「映画の撮影中は、サッカーでこんなに盛り上がるとは思ってなかった。強引なようですけど、この作品はサムライという言葉を日本人みんながもう1度認識できるような映画。日本人で良かった、日本人って良いじゃないかという部分をこの映画で感じてほしいです」と熱く語った。
映画の見どころは、平山秀幸監督が「CGに頼らずに全部アナログにこだわった」というアクションシーン。失敗すれば再度撮り直しというアナログな状況の中で生まれた容赦ない量の血しぶきや、激しい刀と刀のぶつかり合いが、男たちの命をかけた勝負を彩る。
クライマックスで対決する吉川晃司について豊川は、「吉川さんって、マジで恐そうな人。本当の刀じゃないけど真剣に戦いました」とコメント。対する吉川は「音楽で言うセッション。グルーブ感が納まるまでやりました」とミュージシャンならではの独特の言い回しで製作当時の思いを語った。
豊川は司会者からの「特に見てほしいのは?」という質問に「サッカーファン(笑)」と答えながらも、「男の人に見てもらいたいです。登場人物がそれぞれ置かれている状況は、現代に生きる人々にも身近に感じてもらえるじゃないかなと思う。彼らの行動を、ひとつの対応として見てもらいたい」と語った。サッカーワールドカップでは現代のサムライの勇姿に日本中が熱狂したが、映画『必死剣鳥刺し』では、侍という言葉をかみ締めるように劇場でじっくりと堪能してみてほしい。【取材・文/鈴木菜保美】