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樹木希林、穏やかな来世願う「夫と向き合って、静かにお茶を点てながら…」

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樹木希林、穏やかな来世願う「夫と向き合って、静かにお茶を点てながら…」

エッセイストの森下典子が、約25年にわたって通い続けた茶道教室での日々を綴ったエッセイを映画化した『日日是好日』(10月13日公開)の完成披露イベントが7月31日に京都・建仁寺で開催され、黒木華、樹木希林、大森立嗣監督、原作者の森下が着物姿で登壇。樹木が「よれよれです。風前の灯というのはこういうのだなと」と体調について語り、「夫と向き合って、静かにお茶を点てながら人生を送りたい」とお茶目な笑顔で来世の願望を明かした。

本作は、主人公・典子が、母の勧めで通い始めた茶道教室で様々なことを学び、ゆっくりと成長していく姿を描く人間ドラマ。建仁寺を開山した栄西禅師は、中国から茶種を持ち帰って、日本において喫茶の法を普及した“茶祖”としても知られており、茶道の稽古を描く映画の完成を記念して、登壇者陣が栄西禅師に献茶を行った。

猛烈な暑さが続いている日本列島だが、この日の京都も強い日差しが照りつけた。気温も35度を超えるなか、黒木は絽の振袖姿で登場。手刺繍による金魚柄の帯をキリリと締めて献茶式に臨み、「(着物を着るのは)すごく暑いですね」と苦笑い。「見た目には涼しいので、涼をみなさんに感じていただけたら」と語った。

樹木は「私以外の3人は独身です。この凜とした姿を見て、また新たな出会いがあるといい」と樹木節で着物姿の3人を絶賛。黒木の着物は大正時代のものだそうで、樹木が「この色合いは古くからのものね。本当にステキ」と黒木を見つめると、黒木は「うれしいです。お見合い写真でも撮っておこうかな」とニッコリ。樹木は「お見合い写真を配らなきゃ(相手が)こないようじゃあ…」とツッコみ、会場の笑いを誘っていた。

劇中で樹木は、典子が通う茶道教室の先生を演じた。樹木は「『万引き家族』では、貧乏な姿でおりましたのでね。えらい寒くて」と是枝裕和監督作品を引き合いに出しつつ、「(『日日是好日』では)暖かいところでいさせていただいて、いろいろな人生があるものだなと。つくづく幸せなものだなと感じております。とてもいい思い出になった映画でした」と述懐。撮影当時からは「10キロやせて、7センチ縮んだ」と告白する一幕もあり、「人間というのは、こんなふうに縮むものなんだなと、自分の身体をおもしろく見ております」と語る。

いまの体調について「よれよれです。鏡を見て、風前の灯っていうのはこういうのだなと。今度、いつお目にかかれるか、かかれないかわかりません」と記者陣に語りかけた樹木。お茶を通して幸せを感じることもあったそうで「もし次に縁があって地球上に生まれてくることがあったら、小さな茶室を設けて、夫と向き合って静かにお茶を点てながら人生を送る。そういうことをしてみたいという気持ちになった」と夫との穏やかな来世を願っていた。

取材・文/成田 おり枝

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