幻のマンガ「くまのプーさん」日本初コミックスで、映画の世界も2倍楽しめる!
『美女と野獣』のディズニーが「くまのプーさん」を実写映画化(9月14日公開)。100エーカーの森を飛び出したプーと仲間たちは、大人になった親友のクリストファー・ロビンと奇跡の再会を果たすのだが…。ロンドンを舞台に、忘れてしまった「大切なモノ」を思い出させてくれる感動の物語。主役のクリストファー・ロビンを、『スター・ウォーズ』シリーズの名優ユアン・マクレガーが演じる。
「くまのプーさん」」と言えば、子どものころにアニメを見て知った人も多いはず。ところで、実はマンガも発表されていたことはご存じだろうか。
9月10日(月)に1・2巻が同時発売される「くまのプーさん オリジナルコミックス日本語訳版」は、約40年前に北米の新聞で連載されていたマンガ「Winnie the Pooh」を初コミックス化したレアな1冊。北米版は、ファンの中でも手に入れることが困難と言われていたが、今回の本は当時のままにマンガが収録されているのに加え、日本語訳もついているので、子どもから大人まで誰にでもおすすめできる。
劇場に行く前に読んでおけば映画が倍楽しめる、特に今回の映画のキーとなるプーとクリストファー・ロビンの関係をクローズアップしながら、このコミックスの魅力を紹介したい。
220話ものエピソードに詰め込まれた2人の関係
コミックスは、1巻につき220話ものマンガが収録されていて読みごたえたっぷり。すべてのエピソードにクリストファー・ロビンが登場するわけではないが、かつての彼とプーがどんな関係だったのかを十分に感じ取ることができるだろう。
少年時代のクリストファー・ロビンが日々プーと顔を合わせていたのは、ロンドンの田舎にある緑豊かな“100エーカーの森”だった。そこには、プーといつも行動をともにしている心優しい小さなブタのぬいぐるみ・ピグレットや、孤独を好むふりをするけれど本当はみんなの仲間に入りたい様子のロバのぬいぐるみ・イーヨーなど、たくさんの仲間たちも暮らしている。その中で唯一、森の外の世界から知識や、傘や風船といった物を持ってきてくれるのがクリストファー・ロビンなのだ。
かわいいだけじゃない!新たな気づきをくれるプーの不思議な魅力
本書で注目したいのは、可愛いだけではなくユーモラスなプーの姿が描かれているところ。たとえば、クリストファー・ロビンから「何をするのが一番好き?」と尋ねられたプーは、「はちみつを食べるのは最高だけど、食べてるときよりいざ食べようとする瞬間のほうがもっといい」と答えるのだが、その後に「本に書いてあったんだよ」と知ったかぶりであったことを、てらいもなく打ち明けている。プーはいつでも気取らず、あるがままの姿で生きているだけなのに、時たまそれが温かな笑いを生む。
そして不思議なのは、どこか軸がずれているプーの言葉は哲学的でもあって、たった数コマのコミックなのにグッと考えさせられてしまうことだ。プーにはそんな一面もあるのだと知ることで、映画でもプーの言動に深い愛情と洞察を持って触れられるのではないだろうか。
楽しみの多い森の暮らしのコツは“なにもしない”こと!
映画でも触れられるプーの“なにもしない”暮らしは、コミックスの中でも色濃く描かれている。プーやピグレットはいつも他愛のない会話を交わし、お互いに似ているところや違うところを発見することも。その生活は穏やかで何気ないものだけれど、心から楽しんでいることが伝わってくる。
クリストファー・ロビンはというと、学校の宿題の真っ最中でプーのおしゃべりに付き合えなかったり、やりたかったゲームを知らないプーとすれちがってしまったり…そんなズレをみせる一方で、プーのためにサンドウィッチを作ろうとするなど、相変わらず優しい一面も。プーはマンガの中で言っている。「(クリストファー・ロビンは)知らないうちに、ぼくたちより賢くなっちゃうね!」と。マンガの中で学校に通い出したクリストファー・ロビンは、まさに成長の途中だ。その中でどのようにプーと接していくのか、そしてどんな大人になっていくのか…そんな想像を巡らせてから映画を観るのもよさそうだ。
個性豊かなキャラクターたちのウィットに富んだ愉快なエピソードが楽しめる「くまのプーさん オリジナルコミックス日本語訳版」。キャラクターたちへの理解と愛情が深まることで、映画をより楽しむことができるだろう。忙しい日々の中で一息つき、時折クスッと吹きだしながら癒しの物語を堪能してほしい。
文/吉田有希
「くまのプーさん オリジナルコミックス日本語訳版 2」
翻訳/和波雅子
9月10日1・2巻同日発売
各定価(本体1,300円+税)
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